ブックワームのひとりごと

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盗作への怒りから価値観が推移していく疾走系ラブコメ―嵯峨伊織『ラノベ作家になりたくて震える』

ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)

 

あらすじ・概要

自分の書いた作品そっくりの小説がライトノベルの賞を受賞した。主人公藍介の小説を書き直し、勝手に応募したのはかつて藍介がいじめられる原因を作った睡蓮。作品の続きを書きたい気持ちと、睡蓮の「藍介の作品が好き」という言葉につられて、藍介は2巻を書くことになるが……。

 

倫理はないけど結構楽しめてしまった

「盗作から始まるラブコメ」って何だよと思っていたら意外と面白かったです。

確かに話の始まりは倫理的にヤバい、ヤバいのですが、疾走感があって最後までするする読んでしまいました。

そのめちゃくちゃなノリに身を任せることができれば楽しめると思います。

 

盗作した睡蓮にめちゃくちゃ怒ってたのに作品を褒められて乗せられてしまう藍介。褒められることに免疫がないところが笑えますし、そのちょろさに「どっちもどっち」という気がしてきます。

そして「盗作」から「共作」にシフトしていく流れ、主人公自身で納得していく心理描写がつじつまがあっていたので読者としても怒れなくなってきました。

主人公の価値観の推移がハイテンションでテンポのいい語り口で進んでいきます。何かもう負けた。作者の勝ちでいいです。私は楽しめてしまいました。

 

ただぶっちゃけAmazonで低評価なのはよくわかります。倫理がないので……一貫して倫理がなくて明快だし、ヒロインと主人公の間では決着のついたことなので私はあまりムカつかなかったです。でも盗作に何かトラウマがある人にはおすすめしません。

 ここまで「評価が悪いのはわかるが私は好き」となる作品も珍しいですね。