ブックワームのひとりごと

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どこにも行けない少女たちを描くコミカライズ―杉基イクラ『砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない A Lollypop or A Bullet』

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(上) A Lollypop or A Bullet (ドラゴンコミックスエイジ)

 

あらすじ・概要

田舎で暮らす中学生、なぎさの学校に海野藻屑という転校生がやってきた。藻屑は自らを人魚だと語り、おかしな妄想ばかりをなぎさに話して聞かせる。最初は鬱陶しがるなぎさだったが、藻屑の家庭環境が壮絶と知ると、なぎさは彼女に親近感を覚えた。なぎさもまた、どこへも行けない少女だったのだ……。

 

「そうそう、こういう感じだった!」と思えるコミカライズ

原作に思い入れがあるので受け入れられるか心配でしたが、ふたを開けて見るととてもいいコミカライズでした。

ライトノベルで出されたときの絵柄とはまったく違いますが、「そうそう、こんな感じのを想像していた」と思えるキャラクターの造作や背景でした。

特になぎさと藻屑の暮らす土地を絵で描くことによって、彼女らの閉塞感がこちらに伝わってきて胸が重かったです。交通手段の少ない、畑や田んぼの広がる世界で暮らしていると、どうしても「どこへも行けない」と思ってしまうでしょうね。

 

子どもへの暴力やグロい展開が含まれるので、そういうシーンはどうしても絵の方が心へのダメージが大きいです。

傷だらけの藻屑を見るたびにつらい気持ちになってきます。

 

小説原作ゆえに、やたらとなぎさのモノローグが多いので、その辺は好みが分かれそうです。私は桜庭一樹の文章が好きだからいいですが、純粋に漫画が読みたかった人には微妙かも。

まあでもこのモノローグあっての「砂糖菓子の弾丸」ですよね~。

 

コミカライズとしてはとてもおすすめです。面白かった!