あらすじ・概要
田舎で暮らす中学生、なぎさの学校に海野藻屑という転校生がやってきた。藻屑は自らを人魚だと語り、おかしな妄想ばかりをなぎさに話して聞かせる。最初は鬱陶しがるなぎさだったが、藻屑の家庭環境が壮絶と知ると、なぎさは彼女に親近感を覚えた。なぎさもまた、どこへも行けない少女だったのだ……。
「そうそう、こういう感じだった!」と思えるコミカライズ
原作に思い入れがあるので受け入れられるか心配でしたが、ふたを開けて見るととてもいいコミカライズでした。
ライトノベルで出されたときの絵柄とはまったく違いますが、「そうそう、こんな感じのを想像していた」と思えるキャラクターの造作や背景でした。
特になぎさと藻屑の暮らす土地を絵で描くことによって、彼女らの閉塞感がこちらに伝わってきて胸が重かったです。交通手段の少ない、畑や田んぼの広がる世界で暮らしていると、どうしても「どこへも行けない」と思ってしまうでしょうね。
子どもへの暴力やグロい展開が含まれるので、そういうシーンはどうしても絵の方が心へのダメージが大きいです。
傷だらけの藻屑を見るたびにつらい気持ちになってきます。
小説原作ゆえに、やたらとなぎさのモノローグが多いので、その辺は好みが分かれそうです。私は桜庭一樹の文章が好きだからいいですが、純粋に漫画が読みたかった人には微妙かも。
まあでもこのモノローグあっての「砂糖菓子の弾丸」ですよね~。
コミカライズとしてはとてもおすすめです。面白かった!