あらすじ・概要
親に抑圧的に育てられ、「ネガティブ思考クイーン」として生きて来た著者。ある人物の勧めから当事者研究について体験することに。そこは、苦労や弱さをそのままの形で語り合う場所だった。当事者研究を実践する人たちを見、そこから己の生きづらさと付き合うヒントを得ようとする作品。
抽象的な話が多くどう解釈していいか悩む
興味深い内容ではあったけれど、抽象的な話も多くてどう解釈していいかわかりませんでした。それってどうとでも言える話じゃない? と思ってしまいます。
ただ、当事者研究に関わる人たちが、助ける、助けられるという一方通行の支援に疑問を抱いているのはよくわかります。そのための「語り」であり「研究」なのでしょうね。
「自分は相手を助けられるんだ」と思うとどうしても驕りが出てしまいます。べてるの家の章で、「ここは里山のようなもの」という言葉が出て来たのが象徴的でした。場所の手入れはするけれど、成長するのは植物(当事者)任せる。成長しなくても、責められることはない。そういう場所だからこそ安心していられるのでしょう。
私は発達障害の当事者会に行ったことがあるんですけどあまり続かなかったんですよね。そもそも私は共感すること、共有することに救いを得られるタイプではなかったので……。でも問題を外に出して、みんなで「眺める」行為によって少し自分を冷静に見られる、ほっとするという過程は面白かったです。
この作品をどう評価していいか今でもわかりませんが、興味深い内容ではあったし、読んでよかったです。