あらすじ・概要
性の目覚めを迎えつつある小学5年生・弥彦は、隠れてエッチな本を買ったところを更紗に見つかる。更紗はエッチな本を「人の愛と美と性を記録した禁書」だと思っており、更紗に振り回される形で弥彦はエッチな本を探す羽目になる。更紗がエッチな本にこだわる理由とは……。
真面目に思春期初めの「性」を描いている
ネタ漫画なのかと思ったら案外真面目に「性」というものを考えている漫画でした。
「性」というものは新しい命を生み出す神聖なものであり、暴力性を孕んだ醜いものでもあります。性の神聖さを信じることで自分の存在を肯定したいという更紗の渇望は、見ていて痛々しいものでした。
普段何気なく「性」の二面性を知っている私ですが、自分の中の「性」を自覚し始める小学生高学年ごろ、それが醜いものなのか美しいものなのか……と葛藤するのはわかります。自分が女であること、異性が異性であることを受け入れるには大分時間がかかりました。
「エロ漫画」というテーマは俗っぽいですが、語られる思春期初めの悩みは共感できるものです。
性行為が神聖なものか、醜いものか……というと、「それをする本人たち次第だ」と言うしかありません。いつか大人になって、主人公ふたりに愛する人ができたとき、自らの性を満喫できるといいなと思います。
性のポジティブな面、ネガティブな面両方を描き、その間で揺れ動く思春期初めの子どもたちの話でした。ネタ漫画みたいに扱うのは損をしていると思います。