ブックワームのひとりごと

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母の形見の踊る靴を取り上げられて、傍にいるため靴職人になる―仲村つばき『シンデレラ伯爵家の靴箱館1 恋する乙女は雨を待つ』

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シンデレラ伯爵家の靴箱館1 恋する乙女は雨を待つ (ビーズログ文庫)

 

あらすじ・概要

かつて「シンデレラ」とあだ名される女性が王妃となり、靴の生産が盛んになった国。アデルはその子孫であるディセント家に勝手に踊る母の靴を鑑定してもらおうと持ち込む。しかし形見である母の靴を取り上げられてしまう。アデルは母の靴と一緒にいるために、ディセント家のアランが運営する靴工房で働くことになる。

 

ヒーローが「最悪の出会い」からちゃんと好感度上げていくのがいい

靴と童話を巡るファンタジーであり、お仕事小説であり、恋愛ものでもありました。めちゃくちゃ続きが知りたい! 優秀な1巻だったと思います。

 

まずヒーローであるアランが、言葉がきつくて不愛想ではあるけど「根はいい人で真面目なんだな」ということがわかるのがよかったです。本人も自分のコミュニケーション下手は自覚しており、気弱なアデルを辞めさせないために四苦八苦しているところが面白かったです。

最悪の出会いから好感度を上げていくタイプの話、「最悪の出会い」が最悪過ぎて読み進めても好感度が上がらないことが多かったんですが、これは描写がちゃんとしているのでアランのことを好きになれました。

 

そしてアランの靴工房で働くアデルの職人としての成長も、きっちり描かれているところが面白かったです。お仕事ものとしてすごく真っ当なんですよね。

失敗を乗り越え、改善を目指し、報連相の重要さを解く。理不尽なパワハラ描写がなくてもお仕事ものは書ける。

アランも突然デレたりせずにアデルを職人としてリスペクトしているところがよかったです。

 

他にも靴をテーマにした世界観の面白さとか、憎まれ役のキャラをただの憎まれ役にしないところとか、いろいろいいところがありました。

全巻KindleUnlimitedに入っているから早めに続き読みたいです。