ブックワームのひとりごと

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靴職人は敵であり父である魔術師と対峙する―仲村つばき『シンデレラ伯爵家の靴箱館6 彼方の乙女は愛おしき』

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シンデレラ伯爵家の靴箱館6 彼方の乙女は愛おしき 電子DX版 (ビーズログ文庫)

 

あらすじ・概要

墓参りに訪れた故郷で、自らの父、レイと出会ったエデル。彼はアランに魔術をかけ、エデルと取引をしようとする。彼の目的は、エデルの母ヴァイオレットをよみがえらせること。そのためにエデルにシンデレラの靴を要求する。エデルはアランの父親の助けを借り、レイと対峙する。

 

大人になれなかった男と大人になろうとする女の対峙

ラスボスの行動理由が「大人になれなかった男が、大人になった女をひがんでいる」というかなりせせこましい動機なのですが、成長したいとあがく女性を後押ししてきて来たこのシリーズらしい展開かもしれません。

女性の成長を描くなら、最後は成長したくない敵を置くのが美しい。これはこれで構成としてはありですね。

よく言えばいい子、悪く言えば八方美人だったエデルが、自分の大切なものを選び、みんなにいい顔はできないのだ、と気づくクライマックスはよかったです。

 

今巻はなかなかいいところを見せられなかったアランでしたが、最後の最後でやってくれてよかったです。両親にお尻を蹴飛ばされているきらいはありますが……。しかしちょっとヘタレてるくらいがアランは安心しますね。

 

「ヴァイオレットの娘」としての物語はここで閉幕ですが、恋愛小説としてはもう一山あるようです。ここからどうやって正式にエデルとアランが結婚できるのかわかりません。最終巻が楽しみ。