ブックワームのひとりごと

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BLをきっかけに繋がる女子高生と書道の先生の老女―『メタモルフォーゼの縁側』(実写映画版)

【映画パンフレット】メタモルフォーゼの縁側 監督 狩山俊輔 出演 芦田愛菜、宮本信子、高橋恭平(なにわ男子)、古川琴音、

 

あらすじ・概要

書道の先生をしている雪は、ふと立ち寄った本屋でBLと出会い、その魅力に夢中になる。高校生で本屋のアルバイト、うららは、そんな雪に職場の本屋で出会い、仲良くなる。BL本を貸し借りしたり感想を話し合ったりするうちに、うららは、オリジナル同人誌の即売会コミティアへの挑戦を考えるようになる。

 

女子かわいいと創作賛歌と

原作は確か4巻くらいまで人に借りて読んだ……と思います。(うろ覚え)

 

ひたすら(老女の雪を含めて)女性がかわいい映画でした。1年分のかわいいを浴びた気がします。見た目がかわいい、というだけじゃなくて、ひとつひとつのしぐさ、性格や背景に合ったファッション、表情、そして何より関係性がかわいいです。

別に男性向けコンテンツが嫌いなわけじゃないんですが、女性向けコンテンツから取る「女性のかわいさ」からしか得られないものってありますよね……この映画がそれでした。

 

この作品のテーマは「創作活動の肯定」です。うららと雪はBLを通して出会い、好きなBL作品を通して「自分もを描いてみたい」と思ったうららはコミティアに挑戦します。

しかし当たり前だけれど初心者だから上手くはいかないわけで、自分に自信がないうららは惑い悩みます。

登場するキャラクターはみんな優しいから、うららが極端にうじうじしているように見えるんですが、私はうららの気持ちもわかります。自分に自信がないと、他人の肯定も信じられなくなるんですよね。「優しくしてもらう」だけでは解決しない問題はあって、自信のなさとはうらら自身が対決しないとどうにもならないのでしょう。

好きなものを好きと言いたい、でもそれが恥ずかしく罪深いことに感じてしまう、その葛藤がしみじみ心を打ちました。

 

ただ粗がないわけではなくて、一本の映画として構成はもっと練れそうではありました。何をもって映画のオチとするのかがぶれていたように思います。

この作品の山場はコミティアのシーンなのか、あるいはサイン会のシーンなのか、またはふたりの別れなのか……がはっきりしていませんでした。

原作を改変するなとは思いませんが、するならちゃんと映画として展開をすっきりさせる必要があったと思います。

 

完璧な映画というわけではないけれど、私は結構好きな映画です。かわいいを浴び、創作への肯定を浴びました。