あらすじ・概要
彗花の母親が海外赴任し、家を空けている間に蓮とこっそり同居することになった彗花。彼女らはコミフェアという同人イベントに一般参加し、自分達も小さな同人イベントに参加することを決意する。しかし、初めての同人イベントは不安がいっぱいで……。
評価される怖さを乗り越えていけることを信じる
今回は同人イベントがテーマということもあって、「必死で作った作品を、誰も手に取ってくれないのではないか?」という悩みが重点的に描写されていました。
蓮は出張編集部でさまざまなダメ出しをされたことから、評価されることが怖くなり、同人イベントへの参加を迷います。
その感情を否定するのではなく、「あなたは恐怖を乗り越えて行けるだけの強さがあると、私は信じる」という展開にするのがすごくよかったです。同情したり、共感したところで、恐怖はなくなりません。それなら恐怖を感じている蓮に寄り添い、最後まで見守るという決断をした彗花は誠意があります。
「百合小説」と言われることも多い今作ですが、個人的には百合展開されるよりも、「漫画でつながる女と女の友情」としてずっと描いてくれたほうが好みですね。実際のところ、作品の中にも恋愛的な湿っぽさや甘さはありません。どこまでもカラッとした関係性です。この乾いた感じが心地いい。
作品としてはここで打ち切りのようで、調べてみると作家自身が同人誌で続きを出しているようです。キリのいいところまで読みたい人は読めるみたいですよ!