ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2022年上半期に映画館で見た映画の感想まとめ9本

1月に「今年は映画を趣味にしよう」と思って、たくさん映画館に行くことにしました。

今回は6月末までに見た映画の感想をリライトしてまとめました。

 

フランスの三兄妹が迷惑かけたりかけられたり『ローラとふたりの兄』

月初めの木曜日には両親の墓の前に集合する習慣のある、ローラとふたりの兄。ピエールは三回目のブノワの結婚式で、新婦の名前を忘れるという失態を犯してしまう。そのことでけんかになったブノワとピエールを、ローラは取り持とうとする。迷惑をかけたりかけられたり、兄弟の絆とめんどうくささを描く。

今年最初に見た映画ですが結局これが一番好きでした。

コメディと言っても大爆笑できるようなものではなく、ところどころくすっと笑えるシーンがある感じ。

三兄妹のやらかしや葛藤は「あるある」と思うもので、どこの国へ行っても人間関係の悩みというのはついて回るのだなと思います。

面白おかしい内容ではあるんですが作品の後半はほろりと来ました。みんなだめなところあるけど愛はあって、愛がみんなを繋げています。家族って本当に面倒くさいけど希望でもあるんですよね。

誰かを愛することが人をまともにしてくれるのかもしれない、そんな気がしました。

 

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ローラとふたりの兄(字幕版)

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過ちを犯したヒーローは悪を救えるか『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

ミステリオの情報操作によって、過酷な世論にさらされたスパイダーマンことピータ・パーカー。友人や恋人に迷惑をかけて落ち込むピーターは、ドクター・ストレンジに魔法で人々の記憶を消すことを依頼する。しかし魔法は失敗し、その失敗が別の次元のヴィランたちを呼び寄せてしまう。

ピーターの失敗がアイタタ……という感じで見るのがつらかったですが最後まで見た値打ちがありました。

最終的には「10代の子どもをヒーローとして描く意味」を見せてくれた作品だったと思います。子どもだからこそできることもありできないこともある。それをきちんと描いた上で、未来への展望も感じられる作品でした。

最近はハリウッド含むアメリカ映画見るならアメリカでしか見られないものが見たいな、というのがあるんですが、このシリーズはアメリカっぽさがしっかり出ているからいつも楽しいです。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

グッチ家の跡取り息子の嫁にファッションの帝国をめちゃくちゃにされました『ハウス・オブ・グッチ』

親の運送会社を手伝っているパトリツィアは、グッチ家の跡取り息子マウリツィオに出会う。彼と恋に落ち、勘当された彼と運送会社で一緒に働き始める。しかしパトリツィアがグッチ家の資産と名声を手に入れたいという野心を持ったことから、すべての歯車は狂い始める。

倫理のない作品を期待して見に行ったらいい意味で裏切られました。いや、ストーリーそのものは邪悪だし倫理がないんですが、物語の合間合間に描かれる人間描写には制作側の良心を感じました。

「人間は愚か」というより、「人間は条件が揃えば誰でも愚かになる。だからパトリツィアが特別愚かなわけではない」という話でした。それはある意味優しい結論ではないでしょうか。

登場人物ほぼ全員がすぱすぱたばこを吸っている映画なので、たばこ好きな人は楽しいかもしれません。

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奥さんが振り回されてかわいそうすぎる『ゴヤの名画と優しい泥棒』

イギリスの老人、ケンプトン・バントンは老人や寡婦もBBCの放送料を払わなければならないことに憤りを感じ、息子とふたりで社会活動をしていた。政治活動のためにロンドンに向かったケンプトンは、そこでナショナル・ギャラリーのゴヤの名画を盗み、それを人質に政治的要求を呑ませることを思いつく。

いい話……っていうよりケンプトンの妻がケンプトンに振り回され過ぎててかわいそうになり、エンタメとして楽しめませんでした。

「社会のヒーローとしての男性と、それに無理解な女性」という構図はもう見飽きちゃって2022年にやる必要があるのかって話なんですよね。実話なので改変に限界はあるかもしれませんが、演出や描写で上手いことやってほしかったな、と……。

ただ映像はかっこよかったです。

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ゴヤの名画と優しい泥棒[DVD]

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チート能力を持つ主人公が対立してくるキャラをわからせていく話『ブルーサーマル』

恋がしたくて大学に入った都留たまきは、航空部のグライダーを壊してしまい、それをきっかけに航空部に入部する。グライダーの楽しさにほれ込んだ彼女は、大会を目指し、航空部の活動に明け暮れる。

チート能力を持つ主人公が対立してくるキャラをわからせていく話でした。そういう話を書くなとは言いませんけれど、がんばる女子の青春ものとして出してこないでほしいですね。

あとこっちは男性がかわいそうな話でした……。当て馬が悪いってわけじゃないけど明らかに扱いに差があるのはきついです。

大画面でグライダーの飛ぶところの美しさを見られたことだけはよかったです。

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クリスティーンかわいそう映画『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

クリスティーンが結婚することになり、結婚式に出席したスティーヴン・ストレンジ。しかしその結婚式の途中で謎のクリーチャーが現れ、ドクター・ストレンジとして応戦することになる。クリーチャーから助け出したのはアメリカという少女で、マルチバースを旅する力を持っていた。

面白かったんですけど、それ以上に「クリスティーンかわいそう……」という気持ちが多かったです。クリスティーンはスティーヴンのことだめ男だってわかってるのが救いがありますが。

特殊技術がすごいので映画館で見た方が楽しい映画ですが、画面がぐるぐるするから目が回りました。

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『特 『刀剣乱舞~花丸~』雪ノ巻』

記事は立ててはいなかったんだけど見ました。2回見ました。刀剣乱舞関連の映画はだいたい見てるんですけど、個人的な激重感情が含まれるので記事にはしづらくてですね……。

だいたいいつもの花丸、ただしちょっと作画がよくてアクション多め! という感じ。私は南海太郎朝尊の美しい顔が見られたのでそれだけでも満足です。

ストーリーの面白さはまあまあかなという感じですが、不思議で幻想的な文久土佐藩の演出、アクションや表情の作画のよさなど、映画だからこそ見られるものが見られてよかったです。

ただ花丸はゲームファンのためのサービスアニメなので、ゲームのことを知らない人はあまりぴんとこないかもしれないです。

 

盲目の琵琶弾きと異形の舞い手のフェス映画『犬王』

壇ノ浦で平家の落としたものを引き上げて暮らしていた友魚とその父は、ある男に宝を引き上げてほしいと依頼される。だがそれを引き上げた友魚の父は死に、友魚は盲目になってしまう。琵琶法師に弟子入りした友魚は、兄貴分と京に上り、そこで異形の少年と出会う。少年は、たぐいまれな歌と踊りの才能を持っていた。

ストーリー自体は単純で、最後に種明かしがちょっとある以外は、伏線もそれほどありません。その代わり、ライブシーンにエンタメ性とメッセージ性をごりごりに盛り込んできています。

なぜ歌うのか、なぜ踊るのか、そしてなぜ世の人々はエンターテインメントを必要とするのか……。という疑問の答えが映像と歌でしっかり表現されています。その潔さ、かっこよさにしびれました。

表現者が「ここにいる(いた)ぞ」と伝え、受け取る側が「あの人たちがここにいる(いた)ように、私たちもこの世界にいていい」と思う。物語がなぜ人々を励ましてくれるのかが描かれていてちょっと泣きそうになりました。

物語が世界を救ってくれるわけではありませんが、世界が残酷だからこそ、物語を表現する人は必要なのだ……と思うと自分も何か書いて残さないとな、という気分になります。

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老女と女子高生がBLでつながる『メタモルフォーゼの縁側』

書道の先生をしている雪は、ふと立ち寄った本屋でBLと出会い、その魅力に夢中になる。高校生で本屋のアルバイト、うららは、そんな雪に職場の本屋で出会い、仲良くなる。BL本を貸し借りしたり感想を話し合ったりするうちに、うららは、オリジナル同人誌の即売会コミティアへの挑戦を考えるようになる。

ひたすら(老女の雪を含めて)女性がかわいい映画でした。1年分のかわいいを浴びた気がします。見た目がかわいい、というだけじゃなくて、ひとつひとつのしぐさ、性格や背景に合ったファッション、表情、そして何より関係性がかわいいです。

別に男性向けコンテンツが嫌いなわけじゃないんですが、女性向けコンテンツから取る「女性のかわいさ」からしか得られないものってありますよね……この映画がそれでした。

創作を肯定しよう! というまっすぐなメッセージもよかったです。

脚本的にはもうちょっと頑張れるかなあというところはあり、傑作とまではいかないですが、個人的には好きな映画です。

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洋画は全部実写、邦画はほぼ全部アニメで一作だけ漫画の実写化と極端な選び方になってしまいました。アニメ映画が多かったのは、体調を崩していて映画館で長く座っている自信がなく、90分台の映画を選んでいたらアニメが多かったという理由です。

ちょっと回復してきたので下半期は長い映画も見たいですね。