ブックワームのひとりごと

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透明なコップに入った透明な水飲まされてる気分だった―蜷川ヤエコ 『刀剣乱舞 外伝 あやかし譚』

刀剣乱舞 外伝 あやかし譚【特典イラスト付き】 (ぜにょん)

 

あらすじ・概要

平安時代に時間遡行した三日月宗近たち一行は、そこで玉藻前という妖怪が鳥羽上皇を呪い殺そうとしていることを知る。その妖狐は退けたものの、本丸の刀たちは次々に怪異や妖怪に出くわす。これは時間遡行軍の陰謀なのか……。

 

「刀剣乱舞でこれが描きたい」という我が感じられない

ああ~。ときどき読んでしまう「クオリティは高いけれど私は好きではない作品」でしたね。

 

話自体は丁寧で、キャラクターのせりふもきっちり読みこんでいるんだろうと思うし、かっこいい描写も多いです。

その一方で、この作品には「刀剣乱舞でこういう話がやりたい、このキャラクターでこの表現がしたい」という「作者の『我』」が感じられません。

「ファンにとって心地いい描写」をなぞるばかりで、何をもってこの作品のテーマとするか、なぜ刀剣乱舞でこの話をやらなければいけないのか、というのが薄いです。

透明なコップに注がれた透明な水を飲んでいる気分です。

 

ただ、とうらぶって良くも悪くもメディアミックスのくせが強いので、たまにこういう風に「ファンにとって心地いい描写に特化した」作品がウケるのはわかるんですよね。

でも私はそういうとうらぶのメディアミックスのくせの強さが結構好きなんだな、と再確認してしまいました。

 

あとは打ち切り漫画みたいに俺たちの戦いはこれからだ! というタイミングで終了してしまったのもあるかもしれません。もう少し長く連載されていれば作者の作家性も見られましたかね。

 

絵も上手いし漫画も上手い。ただ「私向けではない」というだけの話でした。私みたいなひねくれものじゃなければ楽しめるのではないのでしょうか。