あらすじ・概要
仕事を首になり、フリーランスのライター・漫画家として働いていたカレー沢薫。しかし部屋は荒れ放題、スマホに依存して仕事に集中できない。見かねた編集者が病院に連れて行くと、発達障害であることが判明した。できないことを少しでも「ましにする」ために、著者の工夫が始まった。
能力が高いのにめちゃくちゃ自虐的
発達障害とはいえ、能力がめちゃくちゃ高いのになぜこんなに自虐的なんだ……? と不思議に思いました。
例えば著者は「自分は差別されたくないのに、他人を見た目で差別してしまう」自虐的に語りますが、それを気づけていることってすごいことです。結構な割合の人が、「自分は見た目で人を差別している」ことに自覚がないので。
そしてそういう差別を「(できるだけ)やめよう」と思える時点でめちゃくちゃモラル高いですよ。
著者は自分の内面を見つめ、そこから有意義なものを取り出すという稀有な能力を持っているのに、オチがだいたい自虐になるのがすごく残念なんですよね。そういう芸風なんだろうし、私が自虐ネタ苦手だと言えばそれまでなんですけど。
ただ著者がきれいごとを言わずに、自分の醜さを素直に出していることによって、救われる人もいるんだろうなということはわかります。「ましにしよう」という気持ちはありますが、あえて安易なハッピーエンドにならない、周囲の支えに感謝して終わらないところは好感が持てます。
あとはやっぱり「ふわっと思っている違和感」をきちんと言葉にするのがめちゃくちゃうまいんですよね。「理解のある彼くん」問題や、被害妄想的になってしまう理由、「なるほど」と思わせる解説力があります。