あらすじ・概要
大阪で生まれ育ったアラサーの女が、ある日中華風の異世界に転生してしまった。さらに大金持ちの親によって後宮に送り込まれることに。商才とおせっかいの力で、後宮で一番力を持つ妃になるものの、ビジネス上の付き合いである皇帝には何か秘密があるようで……。
博愛の女が周囲を変えていく
出オチかと思ったら案外真面目な王宮陰謀ものが始まってびっくりしました。
たこ焼きやお好み焼きを愛し、熱烈な阪神ファンであるヒロイン。リアル大阪人である私とすれば「こんな大阪の女おらんわ」とツッコんでしまうのですが、勢いの良さにだんだんリアリティなどどうでもよくなってきます。
めちゃくちゃなヒロインの設定の一方で、作品の世界観はしっかりしています。貧富の差や身分差が激しい社会で、貴族たちが陰謀を巡らせ合っている。中華風の文化の書き込みも結構細かくて、「なんちゃって」感が少ないです。中国に詳しくないのでリアリティはいかほどかわかりませんが、「ありそう」と思える描写なんですよね。
そして読み終わると、すごくヒロインのことが好きになっていました。
言ってしまえば「おせっかいでコミュ力チートな女性が周りの問題を解決していく」話ではあるんですが、この「コミュ力チート」の部分がすごく面白いです。
商魂たくましいのも「お金を稼いでみんなで幸せになりたい」からだし、ビジネスライクな付き合いのはずの皇帝にもおせっかいを焼きまくるし、博愛の女なんですよね。
それでいて、おせっかいであってもきちんと「自分と相手は別」という境界線を引いていて、べたべたした感じがありません。
キャラクターみんなにヒロインが愛されていても、ヒロイン自身がその倍くらいの愛を周囲に振りまいているので「そりゃモテるわ」としか言いようがありません。
転生ものとしても、後宮陰謀ものとしても面白かったです。
KindleUnlimitedで続きが読めるみたいなので読み進めて行こうと思います。