あらすじ・概要
純真無垢だが一般常識がないハカセと、彼女の唯一の友人でありハカセの奇行にいつも巻き込まれている「君」。ハカセの作る発明品のせいで、ふたりは毎回トラブルに巻き込まれてしまう。近所の小学生、くおりあも加わって、ドタバタコメディは加速していく。
気持ち悪い激重感情を描きつつエンタメとして昇華している
性癖がすごかったです。天才的科学者ではあるがどこか抜けていて一般常識を持たないハカセと、その唯一の友達でありハカセに恋心を抱いているらしい「君」。
基本的にはハカセが周囲をしっちゃかめっちゃかにして「君」が巻き込まれる構図なのですが、だんだん「君」の激重感情がひどくなっていくのが怖いです。
その性欲、独占欲、恋愛感情は正直気持ち悪いですが、ちゃんとエンタメとして笑える範囲になっているところがすごいです。漫画がうまい。
ハカセ自身も倫理がないので、破れ鍋に綴じ蓋だなあ、と受け入れられてしまうのが面白かったです。
絵柄自体は性的ではなく、むしろ色気がないのに、ハカセと「君」の関係性には特殊性癖を感じます。
最後の「こんなこともあったのかもね」という番外編は、一本の読み切りとしても面白かったです。家族とうまくいかない子どもたちが、一時期寄り添い、やがて別れる。それだけの話をSF世界観でやっただけですが、「一瞬だけの友達」のうまみが濃縮されていました。
こんな短い作品でがっつり心を動かしてくるところが上手いです。
同人誌の電子化なので、癖は強いしきりがいいところで終わっているわけではないんですけれども、それでももっと評価されてほしい漫画でした。