ブックワームのひとりごと

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双極性障害の母を支えた著者と家族の物語―まりげ『700日間の絶望トンネル』

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700日間の絶望トンネル (はちみつコミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

別居している母が自殺未遂をしたという報告を受け、著者は混乱する。どうやら母は双極性障害だということがわかり、入院治療ののち、著者の近くで暮らすこととなった。しかし母親の躁うつの波に振り回され、著者は苦悩する。

 

母の病気から変わる父娘の関係

双極性障害になった母を支える著者の話なのですが、それにまつわる母、父、子の関係が興味深かったです。

著者の父は家族に秘密で借金を抱え、それが理由で離婚されてしまいます。それ以来「家族を裏切った」と父を憎んでいた著者でしたが、著者の母は夫に愛情があるらしく、離婚した夫と島で暮らしていました。

父を許す母にわだかまりを抱えていた著者でしたが、父が都会に出てきてまで双極性障害の母の面倒を見てくれたことで、父に対する考えが変わります。

わだかまりが完全になくなったわけではないでしょうが、良い方向にも悪い方向にも割り切れない、家族関係はリアルでした。

 

精神疾患の話としては、双極性障害患者の躁うつの波に周囲が振り回されてしまうのがあるあるでした。

私も当事者ですが、このことで家族や友人に迷惑をかけてしまった記憶があります。

あまり他人の躁うつの波に流されないよう、そして自殺という最悪の事態だけは防ぐこと、それが大事なのですが簡単ではないですよね。