ブックワームのひとりごと

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大阪環状線に謎のおばけが現れるオカルトSF―白井弓子『大阪環状結界都市』

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あらすじ・概要

大阪で警察官として働いていた森かなたは、大阪環状線を監視し守るOシステムで「何か」を見てしまう。その「何か」は「みぎわもん」と呼ばれる大阪に現れる超常のものだった。かなたはみぎわもんをめぐる戦いに巻き込まれていくが、それにはかなたの行方不明になった妹、しおりも関係しているようで……。

 

大阪ネタがニッチなローカルオカルトSF

大阪ローカルSFということで一度読んでみたかったんですが、思った以上に大阪要素が濃いです。マチカネワニ(大阪大学敷地内で見つかったワニの化石)とか、鶴橋駅で「ヨーデル食べ放題」のチャイムが流れるとか、某アイドルがやっているひらパー兄さんとか、ちょっと笑ってしまいます。

 

大阪ネタとは裏腹にオカルトSFとしてはシリアスな内容で、環状線を監視するシステムOシステムと、大阪に現れるおばけのようなもの「みぎわもん」の関係が、かなたの視点から少しずつ明かされていきます。

終盤の、大阪で一番大きなお祭り、天神祭を舞台にしたスケールの大きい戦いはわくわくしました。

妹を助けたいというかなたの思いと、大阪を守りたい「さかみ」、や「O研究所」の意思が強く反映されてどきどきしました。

 

情報量が多すぎて、ちょっと駆け足な展開なのが残念ですが、連載を追いかけていたわけではない身としては尺の短さにあまり文句は言えないかもしれませんね。

強いおばあさんのバイクに宿ったAIとか、幸島と野坂の過去とか、キャラクター同士の関係性はもっと見たかったです。