あらすじ・概要
準看護師だった著者は、突然謎の体調不良を起こす。大きな病院でギランバレー症候群と診断され、過酷な治療が始まった。特効薬もなく、必ず効く治療法もないまま、病に苦しむ。果たして著者は退院することができるのか。
コメディタッチだけど勇気づけられる
状況の過酷さのわりに、描写はコメディのようにで気楽に読める本でした。
もうこれ以上よくならないと告知され、健常者に戻れないと気づいても、できる範囲でやりたいことをやろうと決意する著者がかっこよかったです。
「よくならない」というのか科学的な意味であって、工夫をしたり慣れたりすればできることは増えるかもしれません。実際に、著者は好きだった絵をふたたび描けるようになり、漫画も出しています。
そして著者が描いた馬の絵を見て、心を動かされた患者もいます。コメディタッチの作品でも、その下りは読んでいて優しい気持ちになりました。
興味深かったのは著者の家族関係です。著者の父親はギャンブル依存で著者とその母にたくさんの迷惑をかけましたが、おじやおばなどそれ以外の親戚に非常によくしてもらったそうです。それゆえ「家族」に対する印象は悪くない様子です。
親ガチャには恵まれなかったけれどそれ以外の家族関係には奇跡的に成功したパターンだ……と思って印象的でした。
しかしこういうパターンはまれでしょうねと思います。
家族関係を思うと著者の真似は安易にできませんが、前向きな著者を見ていると少し元気が沸いてきました。