あらすじ・概要
家から出られない、働けない人々、ひきこもり。ひきこもりの家族を支援し、ひきこもる人を社会に繋げるには何ができるか。具体的な対策とともに、子どものひきこもりによって孤立する家族について考える。
トラウマを探るのが正解ではない
ひきこもり論は抽象的な話になることも多いですが、この本は具体的な行動が書かれていて興味深かったです。
精神科医やカウンセラーは、過去のトラウマを探りがちなのですが、家族の側から見ればそれは必ずしも正解ではない、ということなのでしょう。
「ひきこもりになった理由を親に求めなくてもいい」と言うように、一旦理由や原因は横に置いて、できることから始めていくのが大事なのだと思います。
ひきこもりが就職した後、フリーターや非正規雇用になり、ワーキングプアとなってしまう問題にも触れていたのがよかったです。
周囲はひきこもりから脱出できてよかった、と思うかもしれません。しかし低賃金で働かされ、キャリアも積めない職にいることは当事者にとっては幸せとは限りません。
もちろん自立することは大事ですが、本人にとっては悩みはこれからも続く、ということを忘れてはならないでしょう。
家族が限界を迎える前に手を打つには何ができるか、を述べられた本でした。