あらすじ・概要
ある日、父親が「ぼけてしまいました」と言い出した。イラストレーターの著者は、実家に通って父親の様子を見に行くようになる。とぼけているようでどこかプライドが高くわがままな父と、その父に文句を言いながら自発的に動くのが苦手な母。ふたりの親の間で著者は彼らを観察する。
シリアスだけどとぼけた雰囲気に救われる
しゃれにならないシーンもありますが、作品全体がとぼけたような雰囲気で、あまり深刻にならずに読めました。
作品の中の著者は悩んだり迷ったりしているのですが、漫画としては自分の感情を突き放して描かれています。自分自身の感情すら淡々と描き、ユーモアあふれる描写にするのは印象的でした。
少しずつ弱っていく父親を世話しながら、親の看取りに向けて実家を片付けていきます。何でもため込むタイプの親なので、片付けにてんてこ舞いになっている著者に同情しました。
いろんなところからビニール袋が出てくるのは何だか笑えてきてしまいました。
親の介護をしながら、「早く結婚しろ」と言われ続けるのは大変そうでした。家父長制ごりごりの時代に生きていた人間だと言うことはわかっていますが、それを下の世代に押し付けられるのはつらいです。
ここまでやってくれる子どもに、無邪気に「結婚しろ」と言ってしまう無神経さがすごいです。悪気があるわけではないのでしょうが。