ブックワームのひとりごと

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【お酒、ゲーム、ギャンブル。当事者が描く依存症啓発漫画】三森みさ『母のお酒をやめさせたい』

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母のお酒をやめさせたい【電子限定フルカラー版】 (コミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

ある日から、家族の様子がおかしくなった。暴力的になったり、罵倒をしたり。うそを繰り返して家族を裏切る。それはどうやら、依存症が原因らしい。ギャンブル依存、ゲーム依存、アルコール依存など、さまざまな依存症を取り上げ、家族や本人の悩みを描く啓発漫画。

 

コミックエッセイではなく、依存症とその家族の苦しみに関する啓発漫画です。内容はフィクションですが、依存症の人とその家族にとってはあるあるなのでしょう。

印象的なのは、家族への愛を否定していないこと。ギャンブル依存に陥る妻が夫への愛と憎しみで引き裂かれそうになったり、アルコール依存の女性の娘が怒りを露にしながらも親を愛していたりします。

毒親界隈は親を捨てることが讚美されがちですが、実際そうできない人もいるのは事実です。親を愛している気持ちも本物なのだ、だからこそ苦しいのだという気持ちが伝わってきました。

 

最後に著者がこの漫画の依頼を受けた理由が語られます。ゲーム依存やカフェイン依存など、著者は子どものころから依存を繰り返していました。カフェイン依存の漫画を描いたことから厚生労働省の依存症啓発漫画を依頼されます。

これは厚生労働省いい仕事をしたなあと思いました。

巻末には参考文献が表記され、もっと調べたい人は調べられるのがよかったです。

語り口はさらりとしていますが、内容は硬派な啓発漫画でした。