ブックワームのひとりごと

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『ニューヨーク・ニューヨーク』羅川真里茂 白泉社文庫 感想

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ニューヨーク・ニューヨーク 1 (白泉社文庫)

 

あらすじ・概要

ゲイのケインは、メルという男性と運命的な出会いをし、付き合い始める。しかし、メルの悲しい過去や、ゲイに対する周囲の無理解によって、傷つくことも多かった。将来を誓ったふたりはゲイ教会で結婚をする。ところが、結婚してすぐメルが失踪してしまった。

 

日常の葛藤を描く前半が良かっただけにサスペンス要素が蛇足

今まで読んだBLの中で一番カップルがいちゃついている気がしますが、話自体はシリアスなものでした。

運命的な出会いをしたゲイカップルのケインとメルですが、家族との問題、職場や世間の無理解に苦しむことになります。

登場するゲイの人たちは善人ではなく、ずるいところもいい加減なところも抱えています。しかし、こういう善人でない人たちも幸せになれないと公平な社会とは言えないのでしょう。

女性と偽装結婚をしたゲイ男性の顛末や、ゲイの家族でいることへの苦しみを見ると、ゲイの人たちへの抑圧は、周囲の人たちも不幸にしているのだなと思います。

 

前半が面白かっただけに、後半のサスペンス展開は蛇足に感じました。

そもそもメルが性加害によるトラウマから解放されていくところが見たかったので、ここに来てトラウマを上乗せされても悲しいだけでした。

結婚したあとも悩みや葛藤はつきないと思うので、そちらの方を描いてほしかったです。

 

文句も言ってしまいましたが、面白かったです。序盤だけでも学びが多く、クオリティの高い漫画でした。

この著者の他の本も読もうと思ったら、『赤ちゃんと僕』の人だったんですね。『赤ちゃんと僕』もちゃんと読んだことがないので触れたいです。