ブックワームのひとりごと

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『赤ちゃんと僕』羅川真里茂 全10巻 白泉社文庫

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赤ちゃんと僕 1 (白泉社文庫)

 

あらすじ・概要

事故で母親を亡くした一家は、父と息子ふたりで暮らしている。小学生の拓也は、いつも弟の実の面倒を見なければならない。まだ赤ちゃんの実は、とても手がかかる。拓也は実に振り回されつつも、学校や近所の人とふれあって成長していく。

 

幼児はかわいいけどめんどくさい

幼児はかわいいけど……面倒くさい!! というテーマが前面に押し出された作品でした。

現代で言うヤングケアラーの物語で、拓也は「実を愛する気持ち」と「家事や子育てが面倒な気持ち」の間で揺れ動きます。

拓也の父もできた父親なのですが、状況的にどうしても拓也を頼らざるを得ないときもあり、父親として葛藤します。その姿が悲しくもいとおしかったです。

 

多様な価値観を描こうと努力しています。働く女性、専業主婦、手芸や料理などいわゆる「女性らしい」趣味が好きな男性、結婚前に子どもを授かってしまった夫婦など。

漫画の中では、迷い、立ち止まりこそすれ、マイノリティの人々が否定されることはありません。そこに優しさを感じました。

人の望むように生きられない悲しみは、いつの時代もあるのでしょう。

 

もちろん昔の漫画なので、現代の感覚からすると古いところもあります。同性愛へのおちょくりはその最たるものです。

ただやはり名作と呼ばれるだけあって、現代でも面白いテーマが多数取り上げられていて面白かったです。

 

 

ただ、これが当時なりの多様性の描き方だったんだろうなと思います。