ブックワームのひとりごと

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『ロジックツリー』雁須磨子 全2巻 ウィングス・コミックス 感想

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ロジックツリー(上) (ウィングス・コミックス)

 

あらすじ・概要

大家族で育った螢(けい)は、いつもきょうだいたちのドタバタに巻き込まれている。父方の祖母の家で手伝いをしたり、きょうだいたちの恋愛事情に巻き込まれたり、自分が恋愛をしたり……ラブコメ群像劇。

 

登場人物が多いドタバタ恋愛&家族劇

登場人物が多くて混乱しますが、それも含めて面白かったです。

 

コマ数もセリフ数も多く、バタバタした雰囲気が大人数のきょうだいと、彼らの恋愛事情をめぐるストーリーとぴったりでした。ガチャガチャしたコマ割も、このストーリーを語る上では必要だと感じます。

きょうだいとその恋人、知人たちの「好き」をめぐる葛藤、相反する感情が目まぐるしく行き交いながら、ひとつの作品として完成している稀有な漫画です。

好きだからこそ幸せ、好きだからこそめんどうくさい……というややこしい思いをカラッとした明るい筆致で描いているのが楽しかったです。

 

作品の途中で同性カップルが成立しますが、あっさり扱われているのが独特の味わいがあります。あくまでこの作品の語り手は蛍であり、エモい関係ありきにならないところが一貫していていいです。

このカップルだけでBLシリーズが書けそうなところを、あくまで作品の一部分として扱うのが潔いですね。

あまりBLにははまらないけどこのカップリングは好きです。幸せになってほしいです。

 

 

ラスト付近で主人公螢の前に現れた青年小説家も味わい深かったです。不器用な男で、あまりに正直すぎるところが魅力でも欠点でもあります。

空気は読めないけれど、どこか憎めないキャラクターが好きでした。