あらすじ・概要
明るい母が、カルト宗教にハマってしまった。裕福な祖父からお金をもらって高額な霊感商品を買い、家では宗教的な暴言を言う。おりしも引きこもりや不登校でばらばらだった著者家族は、母親だけではなく、自分たちとも向き合うこととなる。
炭鉱のカナリアとしてのカルト信者
少々エッセイとしては出来すぎのきらいもありますが、面白かったです。
カルト宗教の恐ろしさを買いまることができました。
母親が宗教にハマったことで、家族の関係はぎくしゃくし、家計も不安定になってしまいます。
一方で、著者の家は母親が家の歪みを一気に引き受けており、他の家族は自分のことで精一杯でした。
いわば母親はこの家庭の炭鉱のカナリアで、家族が離散の危機にあるのを、カルト宗教にハマることで止めたと解釈することもできます。
カルトにハマるのは普通の人であり、その家族も普通の人なのだなあと思いました。
著者が豹変してしまった母親を見て妹と泣くところは胸が詰まりました。親がこうなってしまったら誰でも泣きます。
ストーリーの切り取り方だけを見ればいい話なのですが、気になるところもあります。諸悪の根元であろう暴君的な祖父は今も反省せずにいるのか、夫婦の和解は進んだのか、子どもたちはその後どうなったのか。
わかりやすい話であるだけに、著者が話していないことも多いんだろうなあと思う終わり方でした。