ブックワームのひとりごと

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『フィンスタニス統治記シリーズ』くりたかのこ ビーズログ文庫 全3巻 感想

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フィンスタニス統治記1 夢の楽士と炎の精霊 (ビーズログ文庫)

 

あらすじ・概要

フィンスタニスという見捨てられた土地を統治することになったルノアリア。そこでクレイルという亜精霊の青年と出会う。亜精霊は、精霊の血を引く人間のこと。魔物や精霊が存在するフィンスタニスで、ルノアリアは悩み葛藤しながら成長していく。

 

身分の高い女性と身分の低い男性のカップルは珍しい

もっともよかったのは主人公ルノアリアの心の美しさ、人間性です。彼女は人の上に立つ人間としての義務を理解しているので、ルノアリアたちについていく人たちの気持ちがわかります。周囲の人に愛されていても、嫌味になりません。

 

ルノアリアは恋愛には鈍感ですが、クレイルにとってはその鈍感さがむしろ好ましいものである、というところも面白かったです。

身分の高い女性にもてあそばれた経験のあるクレイルは、恋愛のネガティブな側面を知っています。恋愛の生々しく泥臭いところを知らないルノアリアに、安心するのはわかるんですよね。癒されるクレイルに共感しました。

その上、クレイルが社会的には何の身分も持っておらず、差別される側だったのが新鮮でした。女性向けのロマンスって基本的に男性側に権力がありますからね。

亜精霊としての強い力は持っているんですが、権力で言えばルノアリアの方が強く、そのあたりのパワーバランスが面白かったです。

 

3巻完結なので打ち切りで終わりかなと思ったら、きれいに完結してくれてほっとしました。ラストのダンスシーンは幸せと悲しみが入り混じるような場面で、しんみりしてしまいました。公式カップルにはみんな幸せになってほしいです。