あらすじ・概要
多数の死傷者を出した御嶽山噴火。たまたま現地にいた登山ガイドが、当時のことを振り返る。どのようにして噴火を生き延びたのか、そして生死を分けたのは何なのか……。亡くなった人を思いつつ、生き延びた人間が何をすべきかを考えるノンフィクション。
御嶽山噴火を経験したガイドの手記にやるせなさと希望を感じる
重い話で面白いとは言いづらい話です。それでも面白かったです。
御嶽山で登山ガイドをしていた人がたまたま御嶽山噴火に巻き込まれ、生還するまでを描きます。
読んでみると、本当に紙一重のところで生還したことがわかります。
作品の半ばからは、事故のその後について書かれています。
心ないマスコミにあれこれ勝手なことを書かれたところはかわいそうでした。しかし著者は「生き残った人間の務めを果たしたい」と体験を話し続けます。
他の被災者は生き残った罪悪感に囚われる人もいて、やるせなかったです。
結局山に登ることは危険なこと、自己責任であることが語られます。
しかしそれは登山者を突き放すような意味ではありません。
事故に遭ったら自分を最優先にしても許されることもまた書かれています。
登山者に危機意識がないのは、現代が平和な証拠かもしれません。それでもやっぱり危機に遭ったらとっさに行動するのが大事だと感じました。