あらすじ・概要
夜鳴きする赤ちゃんを抱えて、子育てに悩む女性たち。そんな人の前によなきごやは現れる。セルフサービスの飲み物をもらい、粉ミルクをお湯に溶かし、同じくよなきごやに来た人たちと話す。人々はよなきごやから勇気をもらい、日常生活へ帰っていく。
つながりたい、孤独を癒したい女性たちの願望を描く
ご都合主義の話ではありますが、面白かったです。むしろ今まで母親たちのこういう「つながりたい」「助けてもらいたい」という願望を扱う作品が少なかったことが意外でした。
子どもを愛しているのにうまくいかず、好きなはずの子どもすら憎んでしまいます。そんな子育て世代の女性たちが安らげる場所を作りたいという意気は素晴らしいです。
内部はセルフサービスの喫茶店のようになっていて、紅茶のティーバッグや軽食が置いてあります。(下巻の表紙参照)女性たち(ときには男性も)はそこで憩い、話し合い、救いを得ていきます。
よなきごやの出現はファンタジーでもあって、遠く離れた場所にいきなり出現したり、あまりにも都合のいいタイミングで出現したりします。
ただ、行きたいときに気軽に行けない苦しみもわかるので、ファンタジーな世界観でも「これが登場人物たちの望みなんだ」と受け入れることができました。
ストーリーの主張がはっきりしていますが、嫌な感じがしない、そんな作品でした。
ところで電書バトとは、原稿を預かって電子書籍を各サービスに配信する電子取次だそうです。こういう仕事が今後増えるんでしょうね。