あらすじ・概要
虎杖は、呪いの王、両面宿儺の指を食らったことから呪術師たちの戦いに巻き込まれる。呪術師立の学校呪術高専に入学し、そこで呪術師としての訓練を受けた。しかし宿儺を復活させようとする呪霊たちや、虎杖を危険視する呪術師の派閥とも対峙せざるを得なくなる。
倫理があるんだかないんだかわからない漫画
ジャンプ漫画にしてはフェミニズムに対して積極的であり、現代社会におけるジェンダーの問題をよく描いています。
その極みは禪院真希・真衣の双子でしょう。
呪力がないが高い身体能力がある真希は古い価値観の実家を変えるために家を飛び出しますが、残された真衣には呪術師の才能がなく、辛酸をなめ続けることとなります。苦しい状況の中、姉への嫉妬と愛慕をこじらせた真衣は真希へ愛憎を抱くこととなります。
「外に出ていける強い女性」と「弱いので外に出ていけない女性」の対比になっており、彼女たちの結末もなかなかつらいものです。安易に幸せにしなくてよかったと思っていますが。
終盤では能力バトルが複雑化して何の話してるかわからないところがありましたが、いろいろな人が命をかける中虎杖が「人は何もしていなくても値打ちがある」という結論になってくれたのはよかったです。このシーンを読んでいたとき精神が参ってたのでちょっと泣いてしまいました。
虎杖みたいな運命に選ばれ過ぎているキャラクターが、この言葉を言うのは意味がありました。
先進的なテーマを扱う一方で、「そんな雑に人を殺していいのか?」というシーンも多々ある作品でした。悪役が殺すのはまだいいけど、味方も容赦ないです。なまじモラルの高いシーンがあるだけにそれでいいのかと感じてしまいますね。
個人的にこの作家「努力・友情・勝利」を描くのに向いてないんじゃないかと思うので、次回作はもっと大人向けの雑誌に掲載した方がいいんじゃないかと感じました。
『国家心中 枝田作品集』枝田 ヤングジャンプコミックス 感想