短編小説から生まれ出る恋　森橋ビンゴ『東雲侑子は短編小説をあいしている』感想

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キャッチーなイラストが気になって手に取った本です。確かpixivにイラストレーターさんが絵をアップしてらしたんですよね。

どこか冷めた主人公は、同じ図書委員の東雲侑子にシンパシーを感じます。ある日その東雲が学生作家であることを知り、関係は変化。主人公は東雲に「作品のネタのためにつきあってくれないか」と言われ……。

愛がないのに付き合うという展開はラブストーリーではべったべたな展開です。べたであるがゆえに注目されるのは登場人物の心理状態や設定のディティールなのではないかと思います。

ライトノベルにありがちなハーレム要素はなく、主人公がごくごくまじめに恋愛をしようとするのが好感が持てます。悩んでいる姿にも親しみがもてていいですね。

しかしそれゆえにキャラクターをもうちょっと書き込んだところが見たかったなあと思います。プロット通りに書きましたって感じがしてしまいました。情感をもっと感じたかったというのが個人的に惜しかったところです。

一目ぼれしただけあって、イラストはすごくかわいいです。中のモノクロ挿絵もきれいです。このイラストレーターさんは力があるなあ。

面白いんだけど、もう少しこう……好きになれそうな余地があったような気がする、みたいな本でした。

でも少年向けラノベで一途な恋愛ってあまり見ないから作者のほかの作品も見てみようかなあと思います。

ブックワームのひとりごと