ブックワームのひとりごと

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【笑える・面白い】コメディライトノベルのおすすめ15選

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コメディジャンルについての記事は人気があるので、他の媒体もまとめることにしました。

今回はライトノベル編です。ライトノベルかどうかは、基本的にレーベルで判断しています。

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ビーズログ文庫

『神抱く凪の姫』響野夏菜

神抱く凪の姫1 ~キレ神様、お目覚めにございます~ (ビーズログ文庫)

自分の身をもって悪神を封じる娘、沙綾の前に、解放された祟り神、嵐嶺が現れる。封印の影響で慢性的な体調不良になっていた沙綾は、封印が説かれて元気になって大喜び。自分が健康でい続けたいのもあり、嵐嶺のことを構い、彼を悪神でなくしたいと行動する。

オラオラ系神様ヒーローと、元気に周囲を振り回すトンチキヒロインの組み合わせが面白かったです。ふたりのやりとりに何度も笑いそうになりました。

本来、悪い神であるはずの嵐嶺が、ほだされてまともになっていく敬意が丁寧に描かれていてよかったです。

ヒロイン沙綾も世間知らずでめちゃくちゃな物言いをしますが、長い間体調不良であったからこそのたくましさや共感能力があり、好きになるのもわかるキャラクターです。モラル自体は高く、人が傷つくことを忌避するので読んでいて安心感があります。

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『となりの魔王』雪乃下ナチ

となりの魔王 到来編 (ビーズログ文庫アリス)

田舎の田園地帯に暮らす夏織(かおり)の家の隣に、魔王が引っ越してきた。ファンタジー世界から抜け出たような彼に夏織は戸惑うが、地域の住民はあっさり受け入れているようで……。夏織は、ご近所さんとして魔王と付き合い、その一般人とは違う思考回路に振り回される。

のんびり読めるほのぼの日常ものでありながら、文章のクオリティがすごかったです。ラノベらしいポップな語り口で、読みやすく、ところどころのユーモアが利いている。すごく文章の上手い作家だと思います。

あらすじ自体は本当に何気ないもので、洗濯機の使い方を教えたり、流しそうめんをやったり、花火をやったり、とりたてて大きな伏線もなければどんでん返しもありません。そういう何気ない話をここまで面白く愉快に書けるのがすごいです。

やたらと古風で中二病なしゃべり方なのに案外お人好しで、子どもっぽいところもある魔王と、普通の女子高生だがツッコミ力が高くモノローグの面白さが群を抜いている夏織の、恋愛要素のない交流は本当によかったです。

お互いに好意や情はあるものの、恋愛フラグが立たない関係っていいよね。

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『家電彼氏』雪乃下ナチ

家電彼氏 (ビーズログ文庫アリス)

大学進学をきっかけにひとり暮らしを始めた塔子。しかし家に置いてある、体重計や電子レンジ、掃除機が勝手にしゃべり始める。彼らは塔子の彼氏面をし出し、何かと塔子の私生活に口を出すようになる。塔子は個性豊かな家電たちに翻弄される毎日を送る。

イラストには美麗な擬人化キャラが添えられているんですが、あくまで本文中では家電は家電であり、人間の姿をしていません。

つまり塔子は文字通り家電に彼氏面をされています。

ある意味人外×人間ものだと言えるのかもしれませんが、相手が家電なのでロマンチックさのかけらもありません。塔子に彼氏っぽいものができそうになると「家電に例えるとどんな感じ?」と聞くし、機能をディスると機嫌を損ねます。

それから、主人公の塔子がありがちないい子ちゃんのキャラではなく、年相応にドジだったり愚かだったり欠点があるところが愛しいです。友達に見栄を張ってしまったり失言をしたり。人間味があって好きです。

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角川ビーンズ文庫

『重装令嬢モアネット』さき

重装令嬢モアネット【電子特典付き】 (角川ビーンズ文庫)

当時婚約者だった王子に「醜い」と言われたことで日がな一日鎧をかぶって生活するようになったモアネット。森の中で魔女として暮らしていた彼女の元に、王子と従者のパーシヴァルがやってくる。王子が不運に見舞われ続けるのはモアネットのせいであり、呪いを解いてほしいと言われるのだが、モアネットに心当たりはなく……。

作中のほとんどでモアネットは鎧をかぶっており、挿絵でもがっつり鎧です。その描写にはライトノベルというコンテンツにおける外見至上主義的展開へのアンチテーゼを感じます。

鎧にまつわるコメディ要素には何度も笑いました。

そんな外見に自信のないモアネットが、根はお人好しゆえに王子とパーシヴァルを助け、外見ではなく精神性や能力で自分自身の居場所を得ていくのは前向きで勇気づけられました。

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ルルル文庫

『人形姫と身代わり王子』みどうちん

人形姫と身代わり王子 (ルルル文庫)

生まれたときから魔界の王子と結婚することを運命づけられていた撫子は、将来の婿、ヴァリーに会えるのを心待ちにしていた。魔界の王子との結婚は生贄のようなものだが、撫子は手紙でヴァリーに恋をしていたのだ。しかしやってきた魔界からの婿は、替え玉だった……。

ヒロインがお嬢様口調、猪突猛進の恋する女の子という尖った設定。しかしこのヒロインがかわいいんですよね。育ちがよくて世間知らずだけどいい子だし、案外周りを見ているところもあるし。

ヒーローも偽悪的なところはありますが、魔界と人間界を思って行動できるいいやつで、ヒロインのために体を張る一面も。ふたりとも癖はあるけどほほえましく、お似合いのカップルです。

替え玉をきっかけに出会ったふたりがけんかをしながらも少しずつ心を通わせていく過程は、ラブコメとしては笑えるし恋愛ものとしてはときめきました。

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電撃文庫

『ロミオの災難』来楽零

ロミオの災難 (電撃文庫)

一年生五人だけの演劇部。文化祭の公演の相談をしていると、五人で演じられる『ロミオとジュリエット』の台本が落ちてきた。その台本を演じることにした五人だったが、なぜか部員たちの恋愛の矢印が、ロミオ役の如月に向き始め……。

自分のよくわからない趣味に、「主人公が幸せにならないハーレムが好き」というのがあるんですが、この趣味に合致する本で好きでした。

ハーレム状態で嬉しいな、という感覚ではなく、思い人の本心に悩み、操られた恋心によって騒動を起こす部員たちに悩み……という如月の心中が面白かったです。

そして終盤における、演劇シーンの怒涛の展開はすごく面白かったです。

基本的に青春ラブコメなんですが、その中で自分の感情に向き合い、結論を出していく少年少女たちはよかったです。

余韻のある終わり方で、今後の想像をしてしまうところも好きでした。

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『ラノベ作家になりたくて震える』嵯峨伊緒

ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)

自分の書いた作品そっくりの小説がライトノベルの賞を受賞した。主人公藍介の小説を書き直し、勝手に応募したのはかつて藍介がいじめられる原因を作った睡蓮。作品の続きを書きたい気持ちと、睡蓮の「藍介の作品が好き」という言葉につられて、藍介は2巻を書くことになるが……。

確かに話の始まりは倫理的にヤバい、ヤバいのですが、疾走感があって最後までするする読んでしまいました。

そのめちゃくちゃなノリに身を任せることができれば楽しめると思います。

盗作した睡蓮にめちゃくちゃ怒ってたのに作品を褒められて乗せられてしまう藍介。褒められることに免疫がないところが笑えますし、そのちょろさに「どっちもどっち」という気がしてきます。

そして「盗作」から「共作」にシフトしていく流れ、主人公自身で納得していく心理描写がつじつまがあっていたので読者としても怒れなくなってきました。

主人公の価値観の推移がハイテンションでテンポのいい語り口で進んでいきます。何かもう負けた。作者の勝ちでいいです。私は楽しめてしまいました。

 

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ガガガ文庫

『人類は衰退しました』田中ロミオ

人類は衰退しました1 (ガガガ文庫)

人類最後の最高学府を卒業し、故郷に戻ってきた「わたし」。そこで調停官という仕事に就くが、実質お飾りの役職らしい。調停官の「わたし」は今地球を支配する新人類、「妖精さん」にコンタクトを取り、交流していくが……。

初々しい「わたし」が現人類、妖精さんたちと触れ合い、高度な建築物や疑似生命を生み出すその技術力にビビり、めちゃくちゃになってしまったペーパークラフト世界を呆然と見つめるのは面白かったです。

「わたし」の反応も根暗な人見知りではあるものの、人間らしくて共感できるんですよね。楽な仕事をしたい、責任は取りたくない、でもある程度のモラルはある、というキャラクター造形が好きです。

自然や廃墟となった文明が描かれる、一見牧歌的な作品でありながら、現実世界のパロディや皮肉であったり、生命倫理すれすれのギャグだったりが描かれていて飽きないですね。

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『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』田中ロミオ

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

学校に忘れ物を取りに帰った少年、佐藤一郎は、リサーチャーと名乗る謎の女の子に出会う。しかしその正体は佐藤良子という一般女子。妄想をこじらせた彼女は異世界の住人を演じていたのだ。担任教師から脅されて良子の面倒を見ることになった佐藤は、クラスの半数を占める妄想戦士たちの奇行に巻き込まれることになる。

確かに空想の中で遊ぶ少年少女は「イタい」。それは確かです。しかしながら、彼らは学校では「普通」に振る舞わなければならない、空気を読んで言葉のキャッチボールをしなくてはならない、という固定観念に苦しめられている子どもたちでもあります。

中二病の痛々しさ、みっともなさを描きながらも、なりたい自分を演じて遊んではいけないのか? 不思議や空想を心の支えにしてはいけないのか? と問いかけてきます。

というメッセージ性もありますが、この作品は面白トンチキコメディでもあり、妄想にどっぷりハマったクラスメイトたち、そして佐藤の過去もげらげら笑えます。

疾走感あふれる展開の速さで、痛気持ちいいような快感を感じました。

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『ほま高登山部ダイアリー』細音啓

ほま高登山部ダイアリー (ガガガ文庫)

高校に入学した冬馬は、勇気を出して中学時代のクラスメイト、縁(ゆかり)に告白する。しかし縁に「登山が好き」と勘違いされてしまい、なし崩しに登山部に仮入部する。登山部は、変人奇人の集まりだった。新入生歓迎も兼ねた四月の登山に向けて、登山部たちは準備を行う。

メインヒロイン含めて美少女が三人いるのにいまのところ誰ともフラグが立ちません。お色気シーンはあるんですが、それすらもおもしろネタで上書きされていきます。

そんな状況だから縁にけなげに片思いをする冬馬が愛しく面白くなってきました。頑張れ。

恋愛ものというより青春部活コメディのおまけで恋愛をやっているような作品です。

キャラクター同士の掛け合いも、テンポがよくユーモアがあって面白かったです。

そうそう学生時代ってこういうしょーもないやりとりが楽しかったなと懐かしくなりました。

特に「バテずに最後までついていく」のネタのシーンは読んでいてにやついてしまいました。

ストーリー自体は単純なんですが、コミカルなやりとりが楽しいので十分楽しめました。

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『犬と魔法のファンタジー』田中ロミオ

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫)

冒険時代は遠い昔。宮廷大学に通うチタンは、就職活動に行き詰っていました。送られてくるお祈り手紙、内定を勝ち取っていく周囲。そんな中、冒険組合で飼っていた犬が原因不明の病気になり、気の合わない組合仲間のチアリーと原因を探すことに……。

ファンタジー世界に就活を足すという発想の勝利ですね。世の中にはいろんなファンタジーがあふれているけれど、就活ファンタジーというのはさすがに初めてなんじゃないですかね。一見わけのわからないネタですが、読んでみると意外と説得力があるのが恐ろしいです。

自分を殺してでもレールを行くか、自分が自分らしくあるために道なき道を行くか……。そういう悩みは人生の転換期には必ず向き合わなければいけないんですが、「就活」というテーマはそれを描くにふさわしいものですね。

ラストシーンで語ったチタンのせりふが一番良かったです。道なき道を行っていてもひとりではない。過酷な生き方を強いられるとしても、そう思える瞬間があれば少し救われます。

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コバルト文庫

『クララ白書』氷室冴子

クララ白書I (集英社コバルト文庫)

中高一貫の女子高に通うしーのは、中等部の途中から寄宿舎であるクララ舎に入ることとなる。しかし、クララ舎に途中入寮するイニシエーションとしてドーナツを揚げさせられて……。女の園で暮らす女の子たちのトラブル、日常、友情を描いた連作短編。

女性同士の面倒な感情が描かれつつも、話はあっさりしているところが読みやすかったです。

特に主人公三人組が、ときにけんかしたり反目したりしながらも仲良しなのに癒されました。けんかのシーンはそりゃあけんかするだろうな……という展開なのですが、誰かが騙されているのではないかとなったら駆けつけるなど、愛の強さにぐっと来ます。

関係性自体は地に足のついたものが多く、共感したり笑ったりできました。

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『天翔けるバカ』須賀しのぶ

天翔けるバカ flying fools (集英社コバルト文庫)

幼なじみにふられて売り言葉に買い言葉に、空軍の傭兵部隊にに入隊したリック。そこは、変わり者の巣窟だった。曲芸飛行で培った飛行技術も、ここでは通用しない。それでもリックは勝ち気で図々しい性格を生かし、部隊でエースパイロットになろうと奮闘する。

男のプライドとノスタルジーと愚かさの話でした。それでも嫌な気持ちにならないのは、そういうあり方を「バカ」として定義されているからでしょう。

作中の空軍には一種の騎士道精神がはびこっていて、負けた相手に花を投げるし、一対一で決闘をしさえします。

のんびりしている……と思いきや、歩兵部隊は完全に使い捨てにされていることが地の分で語られます。彼らのやっていることは時代錯誤の行為なのです。

コミカルさと、戦争のシビアさが共存する奇妙なコメディです。

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GA文庫

『最強同士でお見合いした結果』菱川さかく

最強同士がお見合いした結果 (GA文庫)

対立するふたつの国は、新たな脅威のために同盟関係を結び、その印として「最強」の人間同士をお見合いさせることになる……。が、その「最強」たちはとんでもない恋愛初心者だった。それぞれの国の「最強」アグニスとレファは、相手を篭絡し自分の国を有利にするため、下手な恋愛バトルを繰り広げる。

恋愛ものってどちらかがどちらかを助ける、みたいな話になりがちで、力関係が一方に偏るパターンも多いんですが、この話は「能力が対等であることに意味がある」ので面白かったです。

同じくらいの強さで、同じくらいの恋愛初心者だからこそこんなにめちゃくちゃで愉快な話になります。

相手を「(恋愛的な意味で)いいな」と思う気持ちと、「最強なので相手に負けたくない気持ち」がないまぜになってトンチキな展開になっているところに笑ってしまいます。

ラスト近くで背中合わせのふたりを見られたところもよかったです。やっぱり「最強同士」ならこういうシーンがなくっちゃ始まりませんよね!

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ストレートエッジ

『性春デイズ~男子高校生の性の心理戦~』太公望

性春デイズ ~男子高校生の性の心理戦~ (ストレートエッジ)

全寮制の男子高校に通う仲良し五人組、硬い絆で結ばれた彼らがするのは、容赦のない下ネタトークだった。性に関するあれこれで腹を探り合い、ときには騙し、ときには協力する。ただただ下ネタトークをおもしろおかしく描くだけの会話劇ライトノベル。

「男性作家の書く仲良しの男ども」が好きな人は読んだ方がいい……んですけど、展開されているのは露骨な下ネタトークです。

下ネタをテーマに腹の内を探り合い、ときには協力し、ときにはののしり合うその姿。

しかも特に何の実にもならない! ここまで人生に役に立たなそうな小説も珍しいです。

しかし、その男子高校生のばかばかしい話読んでると元気出てくるんですよね。悩んでいることがどうでもよくなってきます。

人間このくらい気楽な話をして生きていきたいものだな……と思えてきます。楽しいコメディでした。

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以上です。興味があったら読んでみてください。

 

 

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