ブックワームのひとりごと

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死体処理の少年が銃を手に入れて吸血鬼を狩る 古橋秀之『ブラッドジャケット』感想

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ブラッドジャケット (電撃文庫 (0176))

 

あらすじ

死体の処理を生業とする少年、アーヴィング・ナイトウォーカー。ある銃を手に入れたことから、彼は変わり始める。一方都市では、最強の吸血鬼「ロング・ファング」を倒すため、ヘルシングという男が駆けずり回っていた。

 

 

主人公サイドに倫理観がない

あらすじと冒頭からして、「冴えない少年が特殊な能力を得て仲間と戦っていく話」かと思ったら全然違いました。

基本主人公サイドに倫理観というものがなく、屍の山を築きながらどんどん話は進行していきます。

人がゴミのように死ぬので、命の価値がひたすら軽いです。

ただ、そんな倫理観のなさが面白かったです。こういうのはまさにフィクションでしか書けない世界、キャラクターです。現実には許されないこと書いてなんぼって感じがします。

カオスなのでどういう話か説明しにくいけれど、とにかく変な話を読んでみたいという人にはおすすめです。

 

宗教とSFがごっちゃになった世界

この作品は同作者の『ブラックロッド』と同じ世界観です。ブラックロッドを読まなくても話はわかりますが、読んでいた方が世界観がわかりやすいかなと思います。

ラジオの音声が神託だと思っている宗教があったり、死後の世界が「高次元に行く」と認識されていたり、設定を読んでいるだけで面白いです。

徹頭徹尾ネタなのかと思いきや、結構作りこまれていて、ただ単に話を追っているだけでもわくわくします。

『ニンジャスレイヤー』や『横浜駅SF』が好きな人が好きそうなタイプの作品だと思います。

描写に割く文字数が多いので、話自体はゆっくり目に進みます。この辺は早く読みたいという人もいるかも。

 

まとめ

ネタ小説家と思いきや、きっちり面白いのでくやしいですね。

暴力表現が多いので、気軽におすすめしにくい作品ですが、そういうのが平気な人には読んでみてほしいです。

ブラッドジャケット (電撃文庫 (0176))

ブラッドジャケット (電撃文庫 (0176))

 
ブラックロッド

ブラックロッド