あらすじ
死体の処理を生業とする少年、アーヴィング・ナイトウォーカー。ある銃を手に入れたことから、彼は変わり始める。一方都市では、最強の吸血鬼「ロング・ファング」を倒すため、ヘルシングという男が駆けずり回っていた。
主人公サイドに倫理観がない
あらすじと冒頭からして、「冴えない少年が特殊な能力を得て仲間と戦っていく話」かと思ったら全然違いました。
基本主人公サイドに倫理観というものがなく、屍の山を築きながらどんどん話は進行していきます。
人がゴミのように死ぬので、命の価値がひたすら軽いです。
ただ、そんな倫理観のなさが面白かったです。こういうのはまさにフィクションでしか書けない世界、キャラクターです。現実には許されないこと書いてなんぼって感じがします。
カオスなのでどういう話か説明しにくいけれど、とにかく変な話を読んでみたいという人にはおすすめです。
宗教とSFがごっちゃになった世界
この作品は同作者の『ブラックロッド』と同じ世界観です。ブラックロッドを読まなくても話はわかりますが、読んでいた方が世界観がわかりやすいかなと思います。
ラジオの音声が神託だと思っている宗教があったり、死後の世界が「高次元に行く」と認識されていたり、設定を読んでいるだけで面白いです。
徹頭徹尾ネタなのかと思いきや、結構作りこまれていて、ただ単に話を追っているだけでもわくわくします。
『ニンジャスレイヤー』や『横浜駅SF』が好きな人が好きそうなタイプの作品だと思います。
描写に割く文字数が多いので、話自体はゆっくり目に進みます。この辺は早く読みたいという人もいるかも。
まとめ
ネタ小説家と思いきや、きっちり面白いのでくやしいですね。
暴力表現が多いので、気軽におすすめしにくい作品ですが、そういうのが平気な人には読んでみてほしいです。