ブックワームのひとりごと

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「持てる者」が示す無意識の傲慢さ―山崎寿人『年収100万円の豊かな節約生活術』感想

年収100万円の豊かな節約生活術 (文春文庫)

今日の更新は山崎寿人『年収100万円の豊かな節約生活術』です。

節約の本が読みたいなと思って入手しました。

 

書籍概要

著者の収入は年100万円程度の家賃収入のみ。それでどうやって生きていけるのか……。ポイントや料理などの節約術を語りつつ、自由に生きる楽しさを描いた実録本。

 

何の参考にもならないけど面白い

そもそも普通の人は100万円の不労所得がないので、この人の真似はできません。解散!

いやあ、「知らない人の生活を覗く」という意味では面白かったんですが、何も参考にならなかったです。

そもそもこの生活、かなり難しい条件を満たさないと維持不可能なんですよね。

  • 不労所得があるので暇。
  • ディスカウントショップや格安スーパーにバイクで行ける場所に住んでいる。
  • 計画性がある。
  • 「なんとかなるだろう」と謎の自信がある。
  • 親が経済的、心理的に自立していて面倒を見る必要性がない。

他にもありますけれど、こんな条件全部満たせる人そういないですよ! 特に最初と最後の項目は著者の努力関係ないですからね。

 

一方で、著者はそんな自分を「持たざる者」だと思っているところがあります。こんなに恵まれてるのに。

今の世に蔓延している、「勝ち組か負け組か」「善(正義)か悪か」「成功か失敗か」「正しいか間違いか」「(自分はあいつより)上か下か」――というように、世界を二色で塗り分け、それだけで人間の価値を評価してしまうような二元論的世界観とはとうの昔におさらばしてしまっている

(P202)

こんなことを言える時点で、この人は勝ち組なんですよ。親にも友人にも恵まれず、運悪くブラック企業に就職してしまって、体を壊した人に「勝ち組負け組なんてどうでもいいじゃん」と無責任に言ったらキレられると思います。

別に著者を責めたいわけではありません。恵まれた人には、本当の貧困、社会とのつながりがないことがぴんとこないんだな……と改めて思いました。

「持てるもの」の無意識の傲慢さに考えさせられたし、我が身を振り返ってそういう態度ではいなかったかと自省したくなる本でした。

 

まとめ

著者の意図とはまったく違う読み方をしてしまった気がしますが、これはこれで面白かったです。

「持てる者」「持たざる者」のギャップについて考えてみたい人にはおすすめの本です。

年収100万円の豊かな節約生活術 (文春文庫)

年収100万円の豊かな節約生活術 (文春文庫)

 

 

 こちらも併せて読むと、著者が「(溜めを)持てる者」だということがわかると思います。

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