一冊完結ライトノベルのおすすめに登場した本です。今気づいたけどこの表紙、背景が夜景なんですね。
あらすじ
塔から飛び降りようとした囚われの姫サクラコは、人造の牢番ナギに助けられる。会話するうちに惹かれあっていく二人だが、ナギが創造主に反逆しようとした瞬間、悲劇が起こる。
サクラコとナギがかわいい
サクラコとナギのかけあいが楽しかったです。中身のない会話というか、ただの雑談なのですが、こうして雑談できる相手はお互いが初めてなんだろうなと思うとそれだけで祝福したくなります。
二人ともわりとチョロいです。しかしそのチョロさも含めてかわいい。恋をする余裕もなかった孤独な二人が、ようやく対等に話ができる相手を見つけたら好きになってしまいますよね。運命の二人なんだなあ……と思いながら読みました。
設定そのものは外連味があって独特な一方で、やっていることは王道ラブストーリーなので、設定がよくわからなくても楽しめます。
べたべたな内容だけれどそこがいいです。いろいろな意味で二人がいとおしくなってきます。
設定のダークさが面白い
もう一つ、量子論をテーマにしたダークで独特な設定も楽しかったです。
「サクラコの美しさが世界を滅ぼす」という言葉が繰り返し出てくるんですが、この言葉のかっこよさが光っていました。
正直量子論的なことはさっぱりわかりませんが、作者もその辺のことは大雑把な気がします。SFだともっとわけがわからないし。
ラスボスも「こんな敵は嫌だ」と心底思えるキャラクター設定でした。倒されて爽快感でいっぱいになりました。挿絵には出て来ないけど見た目もすごい。
ただ冒頭の大量の引用はいらなかったんじゃないかと感じました。なんかそれっぽい文を集めてきたって感じで……。一つくらいだったらあまり気にならなかったと思います。
まとめ
面白い設定でありながらも、展開自体は王道で読み易かったです。
一巻でぎゅぎゅっとまとめた濃度の濃い作品でした。いろんなシーンが読めました。