今回はおすすめエッセイ本のまとめです。
エッセイは、小説よりも気楽に読めつつ、他人の日常を知ることができて面白いです。
- 『衝動買い日記』鹿島茂 中公文庫
- 『変!!』中島らも 集英社文庫
- 『ワセダ三畳青春記』高野秀行 集英社文庫
- 『魔女の1ダースー正義と常識に冷や水を浴びせる13章』米原万里 新潮文庫
- 『オカマだけどOLやってます。完全版』能町みね子 文春文庫
- 『雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集』中谷宇吉郎 岩波少年文庫
- 『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』中島らも 集英社文庫
- 『ソクラテスの口説き方』土屋賢二 文春文庫
- 『銀の街から』『銀の森へ』沢木耕太郎 朝日新聞出版
- 『ダンナ様はFBI』田中ミエ 幻冬舎文庫
- 『打ちのめされるようなすごい本』米原万里 文春文庫
- 『小生物語』乙一 幻冬舎文庫
- 『こんなツレでゴメンナサイ』望月昭 文春文庫
- 『ヒトのオスは飼わないの?』米原万里 文春文庫
- 『不味い!』小泉武夫 新潮文庫
- 『いしいしんじのごはん日記』いしいしんじ 新潮文庫
- 『督促OL 修行日記』榎本まみ 文春文庫
- 『フフフの歩』先崎学 講談社文庫
- まとめ
『衝動買い日記』鹿島茂 中公文庫
フランス文学者の買い物エッセイ。
頭のいい人がくだらないものを買おうとし、その結果に一喜一憂しているのが面白いです。
世間一般では買い物が好き=女性というイメージですが、「男だって買い物が大好きなんだ」と行動で主張する内容になっています。
『変!!』中島らも 集英社文庫
著者が身の回りで出会った「変」な人たちをめぐるエッセイ。
登場するおかしな人々に抱腹絶倒。しかし視点を変えると、どんな人にも何かしら「変」な部分が存在するとも言えます。
我が身を振り返り、自分自身にも変なところがあるかもしれない……と思わせてくれる本です。
『ワセダ三畳青春記』高野秀行 集英社文庫
早稲田近くのおんぼろアパートに暮らしていた著者と、そこに住むおかしな人々の交流を描く。
登場人物全員キャラクターが濃くて読んでいて楽しいです。こんな人本当にいるのか……?
楽しげな雰囲気の中、青春のどこか鬱屈した気持ちが漂っています。
『魔女の1ダースー正義と常識に冷や水を浴びせる13章』米原万里 新潮文庫
ロシア語通訳である米原万里が、経験を生かして海外での文化の違いや常識のあやふやさについて語る。
エッセイなのに情報量が多く、じっくり読むのにおすすめです。
難しいことを描いている部分もあるのにユーモアもあって、笑ったり真面目な顔したり忙しいです。
魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/12/27
- メディア: 文庫
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『オカマだけどOLやってます。完全版』能町みね子 文春文庫
自分自身の性別に違和感を感じ、「男」だけど「女」になろうとした人のエッセイ。
一言でセクシャルマイノリティと言ってもいろいろな人がいるということがわかる本です。さらっと女性らしい恰好をして、さらっと女性として働く。そういう人もいるんですね。
いろんな人生を生きている人がいるんだな……と世の中に思いをはせたくなるエッセイで下。
『雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集』中谷宇吉郎 岩波少年文庫
雪の研究者として名をはせた著者が書く科学エッセイ集。
科学というものが結構身近な存在であることを教えてくれます。研究対象である雪の話、霜柱の話、超能力の話など、話題もさまざまで読んでいて楽しいです。
研究もできて、文章も上手いってすごい人ですね……。
『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』中島らも 集英社文庫
中島らもが少年時代を回想するエッセイ。
男子学生特有のアホっぽさが随所にちりばめられています。なんでこんなくだらないことに夢中になっていたんだろうな……と懐かしくなりました。
同時に、モラトリアムゆえのぼんやりした不安感、きりきりするような劣等感がところどころに感じられて切ないです。
『ソクラテスの口説き方』土屋賢二 文春文庫
哲学者、土屋賢二が身の回りのことを、被害妄想や自慢を交えて書く。
「頭のいい人が全力でギャグを書くとこうなる」というエッセイ。論理的なのか論理的じゃないのかわかりません。
くだらないことに対して考えすぎるほど考え、おかしな結論に向かうのが面白いです。
『銀の街から』『銀の森へ』沢木耕太郎 朝日新聞出版
2冊一組の映画エッセイ。一つの映画につき三ページ程度で語られます。
映画評より軽い読み物ですが、その分映画に対して気安い気持ちで読めます。
読めば読むほど映画館に行ってスクリーンを眺めたくなる、文章の美しさ。見たい映画をメモするだけで楽しいです。
『ダンナ様はFBI』田中ミエ 幻冬舎文庫
元FBIの男性と結婚した著者の、異文化結婚エッセイ。
FBI流の生活が、日本では異質すぎてツッコミどころ満載です。
妻にあれこれ指図するものの、結構正論だからたちが悪い……と感じてしまいます。多分この奥さんじゃないと耐えられないと思います。
『打ちのめされるようなすごい本』米原万里 文春文庫
ロシア語通訳米原万里の読書日記、書評を集めた本。
読書日記は、前半部分はさまざまな本を紹介し知識欲が刺激される内容となっています。しかし後半、彼女は末期がんになり、闘病しながら健康についての本を読み漁るようになっていきます。
きれいごとでは片づけれれない闘病の姿を見せつけられ、「生きたい」という感情に共感しました。
『小生物語』乙一 幻冬舎文庫
短編の名手乙一のエッセイ。
エッセイのはずなのに突然ファンタジーなことが起こり、どこまでが嘘でどこまでが本当なのかわかりません。
面白いだけでなく、どこか自分語りをするのに照れたような雰囲気がいとおしい気持ちにさせてくれました。
『こんなツレでゴメンナサイ』望月昭 文春文庫
ベストセラーとなった『ツレがうつになりまして』をツレである望月昭の視点から語るエッセイ。
迷走しながらもゆっくりと元に戻っていく著者の姿がわかります。回り道をしたけれど、結果的にちょうどいい場所に落ちつけてよかったです。
『ツレうつ』を読まなくても読めますが、読んでいると二度おいしいです。
『ヒトのオスは飼わないの?』米原万里 文春文庫
ロシア語通訳、米原万里の彼女の周りの動物にまつわるエッセイ。
動物が本当に好きなことがわかってほのぼのします。一方で、動物を飼う上での哀しい出来事も描かれていて、胸がつまります。
動物は人間の生活を豊かにしてくれますが、それだけではないということがわかりました。
『不味い!』小泉武夫 新潮文庫
ひたすら不味い食事について書いた逆飯テロエッセイ。
たまたま食べたまずいものから、「それは絶対にまずいだろう」というものにチャレンジした記録まで、まずさのシチュエーションは多種多様です。
裏返して考えると、それだけ著者の食べ物に対するこだわりが強いということです。その食べ物に果敢にチャレンジする姿が面白いです。
『いしいしんじのごはん日記』いしいしんじ 新潮文庫
作家、いしいしんじが食べ物のことを中心に日常を描く日記エッセイ。
登場するごはんがみんなおいしそうでお腹がすいてきます。特に魚が食べたくなります。まぼろしのねこたちが目に浮かびます。
さらっと毒舌なことを言ってもあまりいら立たないのは、一種の人徳なのかもしれません。
『督促OL 修行日記』榎本まみ 文春文庫
クレジットカードのキャッシングの督促部署に配置された女性の奮闘記。
嫌われながらも誰かがやらなくてはいけない仕事。ストレスに苦しみ、心を守るすべを手に入れながら督促を続ける姿がかっこいいです。
接客業の人にとっては、理不尽なクレームへの対処法にも参考になる一冊です。
『フフフの歩』先崎学 講談社文庫
プロ棋士の日常を垣間見れるエッセイで、「プロ棋士って普段どんな暮らしをしているのだろう」という疑問に答えてくれます。
ときどきダメな男にもなるけど、将棋の時はどこまでも負けず嫌いになる著者が面白いです。
まとめ
エッセイ本まとめ、いかがでしたでしょうか。
エッセイの面白さは、現実と陸続きになっているところです。もちろん脚色も入っているんですが、小説より身近なのがいいですね。
面白そうだと思ったものがあればぜひ手に取ってみてください。