ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

エッセイ

能の話より認知症の母の国際的介護問題のほうが面白い―梅若マドレーヌ『レバノンから来た能楽師の妻』

あらすじ・概要 レバノン内戦ゆえに故郷を離れ、学生をしていた著者はあるとき能楽師の息子と出会う。彼と結婚することになった著者は、能楽における古いしきたりや価値観に戸惑いつつも夫を支える。夫は著者とともに、新しい能楽のスタイルを表現するため活…

中国語を話せない台湾人が、中途半端な自分を肯定できるようになるまで―温又柔『「国語」から旅立って』

あらすじ・概要 日本で育った台湾人である著者は、長じるにつれ「台湾人なのに中国語を話せない自分」に悩むようになる。高校で中国語を学び、大学でも引き続き中国語を選択するが、その過程でも違和感がなくならなかった。「自分は自分」として著者が自分を…

あのころのインターネットと小説家の虚実入り混じる日常―乙一『小生物語』

あらすじ・概要 インターネットのHPで日記を書き始めた作家、乙一。しかしその内容はどんどん虚実入り混じるようになる。映画を見たり漫画を読んだりする日々や、同業者との交流の中に唐突に挟まるファンタジー要素。フィクションのようなノンフィクションの…

限界集落で共同生活を送るニートたちはなぜそこに集ったのか―石井あらた『「山奥ニート」やってます』

あらすじ・概要 とある限界集落。そこで共同生活を送るニートたちがいる。家事をし、最低限の労働をする以外は、アニメを見たりゲームをして暮らしている。ニートたちのリーダー格である著者が、その生活の日々と、「山奥ニート」が発生した由来、社会への思…

13歳で同性に恋した女の子が、自分がレズビアンだと受け入れるまで―室井舞花『恋の相手は女の子』

あらすじ・概要 13歳で同性である女性に初恋をした著者。女性が女性を好きになることはおかしいことなのだろうか? と悩み、葛藤する。しかし世界一周の船「ピースボート」に参加したことから、自分以外の性的マイノリティに出会う。自分を受け入れられな…

東京に住むインテリ虫好き少年がアナウンサーになるまで―桝太一『理系アナ桝太一の生物部な日々』

あらすじ・概要 子どものころから虫好きだった著者、桝太一は、名門麻布中学に入学し、そこで生物部に入る。そこでは走り込みをして体を鍛えながら、生き物の採集をしていた。卒業後は東大に入り、海洋生物に興味を持ちアナゴや貝の研究をする。そんな著者は…

人間には、絶望の中にもささやかな救いを見出すことができる強さがある―野田敦子『夫が倒れた! 献身プレイが始まった』

あらすじ・概要 コピーライターの著者の夫が倒れ、意識を取り戻す見込みがほとんどない植物状態になってしまった。悲しみに暮れる暇もなく、著者の生活はめまぐるしい勢いで変わっていく。介護をどこまでするかという問題、夫の家族や友人との付き合い、自分…

孤独死は嫌だ!と思ったので似たようなオタクたちと同居してみました―藤谷千明『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』

あらすじ・概要 パートナーと別れ、同棲を解消した著者は、家賃の金銭的負担と孤独死の恐怖にさいなまれていた。そこで、似たような悩みを持つオタク同士でルームシェアをすることを思いつく。メンバー探しや物件探し、引っ越しの流れから、実際に暮らしてみ…

大阪から東京へ逃れた男がタクシーの運転手になって路上を巡る―梁石日『タクシードライバー日誌』

タクシードライバー日誌 (ちくま文庫) 作者:梁 石日 筑摩書房 Amazon あらすじ・概要 事業に失敗し、逃げるように大阪から東京へやってきた著者。彼が就いた仕事は、タクシードライバーだった。面倒な客とやりやったり、事故に巻き込まれたり、タクシードラ…

双極性障害の著者は死なないために死にたい気持ちと共存を試みる―ひろのはこ『となりの希死念慮さん 死にたい気持ちと付き合う』

あらすじ・概要 双極性障害を患っている著者は、昔から「死にたい」という考えに取り憑かれていた。しかし、周囲の支えてくれた人たちのためには死にたくない。「死にたい」から「死なない」ために、己の中の希死念慮と語らい和解を試みる日々が始まった。文…

新型コロナウイルスのワクチン1回目打つだけで給料がもらえる仕事でよかった【ワクチン接種実録】

たぶん将来の自分のために記録に残しておいた方がいいなと思って書きます。 一応身バレを防ぐために、フェイクを入れている部分もあるので「ここ違うんだが!?」というところがあってもスルーお願いします。 コロナワクチンの日程が決まるまで うちの会社は…

日本人女性が家族とともにロンドン暮らし―玖保キリコ『ロンドン丼 英国暮らしは毎日がドッキリコ!』

あらすじ・概要 イラストレーターの著者は夫と子どもとともに、イギリスの首都ロンドンで暮らしている。ロンドンでの暮らしは文化の差を強く見せつけられることが多い。外国人から見たロンドンの姿を、エッセイと漫画で語る。

こういう生活が本当にうらやましい―阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』

あらすじ・概要 女芸人阿佐ヶ谷姉妹。彼女らはふたりで狭いワンルームに暮らしていた。同居のわずらわしさや楽しさ、近所の人たちとの交流を交互にエッセイとして書き記していく。ふたりの書いた恋愛小説も収録。 「普通」でないことを受け入れられる生活う…

コロナ禍の1年間で変わったこと5つ

お題「#この1年の変化」 公式企画で「この1年の変化」について語ろうということで、私も記事を作ってみました。項目は5つ。 それほど変わっていないと思い込んでいたけれど、書き出してみるといろいろ変化を思い出すものですね。 東京が遠くなった 大阪を…

キャットシッターの第一人者が見た猫と人の関わり―南里秀子『猫、ただいま留守番中』

あらすじ・概要 キャットシッターの第一人者である南里秀子。彼女が出会った猫たちも、飼い主たちも、さまざまな事情を抱えている。シッターとして人の家に入り、猫の世話をすることで、人と猫の関係が見えてくる。楽しいことから不満なことまで、猫と働く生…

フランス文学者による衝動買いおもしろレビュー―鹿島茂『衝動買い日記』

あらすじ・概要 フランス文学者、鹿島茂は買い物が大好きである。店を物色し、いつも衝動買いをしては、後悔したり、当たりを引いたりしている。腹筋マシーン、猫の家、財布など、著者が購入した「衝動買いグッズ」とその後の使用結果を面白おかしく書いた連…

人脈があっても介護は難しい―かぶらぎみなこ『親が倒れた日から、いつかくる…その日まで~かぶらぎさん家のケース』

あらすじ・概要 イラストレーターで勤め人の著者。その父親が、脳こうそくで倒れた。そこから、家族の介護の日々が始まった。入院生活から自宅介護、デイサービスの利用、そして、おそらく二度と家に戻れない療養型医療施設へ。親の老いを文字エッセイとイラ…

「普通」が幻想だと知ると自虐が楽しめなくなる―カレー沢薫『負ける技術』

あらすじ・概要 文章も書く漫画家カレー沢薫。彼女が書いたコラムを書籍化。そこにあるのは、コミュ力のない根暗なオタクの暗い過去だった。毎日の虚無をおもしろおかしく描きながら、冴えない人間が毎日を生き抜く姿を伝える。

敏感な人間同士共感したいならいいかも―高橋敦『「敏感」にもほどがある』

今日の更新は、高橋敦『「敏感」にもほどがある』です。 あらすじ・概要 敏感体質であるHSP。その当事者である著者が、敏感すぎる人間の日常について漫画と文章で語る。着ているものの材質に敏感、周囲が気になりすぎる、人の気分の上下に影響されてしまう………

花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』

今日の更新は、花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』です。タイトル長い。 あらすじ・概要 夫と別居状態に陥った著者は、Xという恋愛目的に限定しない出会い系アプリに登録する。本が好きでヴ…

イギリスの羊飼いが語る、美しいだけではない湖水地方―ジェイムズ・リーバンクス『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』

あらすじ・概要 600年以上続く羊飼いの一族に生まれた著者。ユネスコの仕事をしながら、自分の農場の羊を追っている。風光明媚なイギリス湖水地方の風景とは裏腹に、その仕事は過酷そのものだ。一家の歴史や、生き物相手の重労働、羊飼いの誇りを賭けた品評…

オペラの合唱指揮者が語るオペラの舞台裏―三澤洋史『オペラ座のお仕事』

今日の更新は、三澤洋史『オペラ座のお仕事』です。 あらすじ・概要 オペラで合唱指揮者をしている著者。オーケストラ指揮者ががよく見えない合唱団のために指揮をするのが彼の仕事だ。表現を巡ってオーケストラ指揮者と戦ったり、海外のオペラ座でお国柄に…

双極性障害の作家、世の中のもやもやを言葉にする―絲山秋子『絲的ココロエ―「気の持ちよう」では治せない』

今日の更新は、絲山秋子『絲的ココロエ―「気の持ちよう」では治せない』です。 あらすじ・概要 双極性障害(躁うつ病)Ⅰ型と長く付き合ってきた著者。現在は感情の起伏をある程度コントロールできている。著者なりに起伏を小さくする工夫や、病気で感じた世…

猫の保護活動の厳しい現実と面白さと―ハルノ宵子『それでも猫は出かけていく』

今日の更新は、ハルノ宵子『それでも猫は出かけていく』です。 あらすじ・書籍概要 漫画家である著者は、自宅で猫の保護活動をしていた。雌猫に避妊手術を受けさせ、病気の猫がいれば病院に連れていき……早世する外猫たちはつぎつぎと顔ぶれが変わっていく。…

小説家、三崎で魚を食べて暮らす―いしいしんじ『三崎日和 いしいしんじのごはん日記2』

今日の更新は、いしいしんじ『三崎日和 いしいしんじのごはん日記2』です。 あらすじ・書籍概要 三崎で暮らす小説家のいしいしんじ。彼はおいしい魚を食べながら、小説を書いたり、コーラスの練習をしたり、別の町に出かけたりする。web日記を文庫本にした…

食べ物に対するポジティブさが楽しい―村瀬秀信『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』

今日の更新は、村瀬秀信『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』です。 あらすじ・書籍概要 昔はおしゃれな店が好きだった著者は、いつの間にかチェーン店ばかりで食事をするようになった。吉野家、びっくりドンキー、サイゼリアなど、街でよく見…

ロジカルに主夫中心の子育てを語る―望月昭『パパ、どうしてお仕事いかないの?』

今日の更新は、望月昭『パパ、どうしてお仕事いかないの?』です。 あらすじ うつ病をきっかけに、主夫になった細川貂々の夫望月昭。子どものちーと君も三歳になった。宝塚への引っ越し、子どもに合わない保育園、子連れの旅行など、さまざまな日常を描く男…

前の住人の荷物の不在票が届いたので、問い合わせして返した話

素材:Canva(https://www.canva.com/) 今日の更新は、「前の住人の荷物の不在票が届いたので問い合わせした話」です。 こういうときどうすればいいのか知らなかったので、自分用の覚書もかねて書いておきます。

ファッションに興味がなくても楽しい着物語り―松田恵美『きもの番長2 コーディネイトレッスン編』感想

今日の更新は、松田恵美『きもの番長2 コーディネイトレッスン編』です。 1の記事はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com 書籍概要 着物に興味を持ったけれど、どうやってコーディネイトすればいいのかわからない。そんな人たちのために、着物や帯、小物の…

難病の人が一人暮らしをするということ―大野更紗『シャバはつらいよ』感想

今日の更新は大野更紗『シャバはつらいよ』です。 前日譚的な存在である『困ってるひと』は既読です。 あらすじ 免疫性の難病にかかり、入院していた著者は一人暮らしを始めた。しかしその生活は困難極まるものだった。そして、故郷を襲った大地震。はたして…