今日の更新はチャーリー・N・ホームバーグ『硝子の魔術師』です。
タイトルはダブルミーニング。
前回の感想はこちら。
あらすじ
セイン師のもとで、紙の魔術の修行をするシオニー。彼女が見学していた紙の工場が、何者かによって爆破された。切除師、ライラに特殊な魔法をかけたシオニーは、闇の魔術師たちによって追われる身となった。セイン師はじめ、周囲の大人たちにかばわれるシオニーだが……。
主人公を甘やかさない人たち
今回は魔法VS魔法のバトルシーンがかっこよくてよかったです。
鏡の中を通り抜けたり、紙を振動させて爆発させたり、それぞれの素材を使って大暴れしていく魔術師たちは痛快でした。
タイトルにもある、硝子の魔法は幻想的で面白かったです。ぜひ目の前で見てみたいシーンで下。
一方で、相変わらず主人公が恋愛脳なので、そこは好みが分かれそうです。
ただ、師匠のセイン含め、周りがシオニーを甘やかさないので、そこでバランスがとれていると思います。
魔術師養成学院の校長アヴィオスキー師は、特にまともなことを言うので安心感がありました。
「あなたとセイン師は、どう見てもお互いに親密すぎます」
(P166)
一応この世界でも、弟子と師匠の恋愛はあまり褒められたことではないんですね。
セイン師も、シオニーのことを大切に思っているんですが、師匠としては結構厳しい人です。
魔法の課題をきっちり出してくるし、シオニーが危ないことをすると激怒します。
愛情は持っていても、色ぼけたりはしないところ、すごく大人でかっこいいなと思います。
セインの、普通の倫理観を押しつけがましくない形で身に着けているところ、とても魅力的だし、シオニーが惚れるのもわかります。
まとめ
猪突猛進型主人公が失敗をして、これからどうなるかというところで引き。
冒険とシリアスが渾然一体となって面白かったです。
最終巻が楽しみです。もう買ってあるので、のんびり手を付けようと思います。