ブックワームのひとりごと

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これをミステリと呼ぶには無理があるだろ―野崎まど『パーフェクトフレンド』感想

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫)

今日の更新は、野崎まど『パーフェクトフレンド』です。

 

 

あらすじ

不登校の少女をたずねていった小学生理桜(りざくら)は、数学家の天才少女さなかと出会う。理桜が友達の重要性を説いたことをきっかけに、さなかは学校に通い始め、友達というものを知ろうとするのだが……。

 

これはミステリじゃないだろ

いや、これをミステリと言い張るのは無理があるでしょう。

だってこれ、謎解きさせる気なさそうなんですもん……。伏線らしい伏線はないし、オチもすべてが解明されるわけではない。この作品を読んで謎解きできました! っていう人は、いないとは言えないけどごくごく少数派だと思います。

よくミステリと銘打って出したな。

 

一方で、この作品は面白かったのは確かです。

理桜、さなかとその友人たちの、はちゃめちゃな会話は読んでいて楽しかったです。

「そう毛嫌いせずに、互いに心を許し合っていこうじゃありませんか」

「イ・ヤ!」

「許し合わないと貴方を許しませんよ」

「あんた言ってること矛盾してない!?

(P80)

 よくこんな漫才みたいな会話がぽんぽん思いつくな、と感心しました。リズミカルでキャッチ―で、マシンガンのように早いです。

さなかの性格も面白かったです。哲学的なことを言うのにとつぜん悪ふざけをして、周囲をけむに巻きます。そのトリックスターがヒロインになったような立ち位置がスリリングでした。

 

さらに、読者を全力で裏切ってくるところは嫌いではないです。ありえねー! と思いつつ、そのありえなさがエンタメとしてありなんですよね。もう「予想を裏切る」ということが一種の芸風になってしまっています。

なんかこう……不思議な作家ですよね、野崎まど。説明がしにくい。

 

この作者すごく好き、ってわけではないんですけれど、この作風を確立できることに感心してしまいます。

どこまで人を食ったような展開やキャラクターで話を展開できるんだ? と気になってときどき読んでしまうんですよね。

これも一種の「好き」なのかもしれませんね。

 

まとめ

 相変わらず人を食ったような作品ですが、結構好きなので困りますね……。

また、次巻を置いたらこの作者の作品が読みたくなっていると思います。