ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

ミステリ

男子高校生が家族を守るために犯罪を行う倒叙ミステリ―『青の炎』(実写映画版)

あらすじ・概要 男子高校生、秀一は、家に転がり込んできた母親の元夫、曾根に悩まされていた。曾根が妹に暴力を振るいかけたことをきっかけに、秀一は曾根の殺害を決意する。医学書やインターネットを通じて得た知識で、曾根の殺害をやりとげた秀一だったが…

読んでいて人間の愚かさに嫌な気持ちになる短編集―米澤穂信『満願』

あらすじ・概要 殺人を犯した女性の家にかつて下宿していた弁護士は、彼女の弁護を試みるうちに、彼女の本当の目的に気づく。表題作「満願」ほか、人間の弱さや愚かさを描いたミステリー短編集。

金魚の屋敷で大人しい女性が探偵代理―路生よる『地獄くらやみ花もなき伍 雨の金魚、暗い隠れ鬼』

あらすじ・概要 魔王の跡目争いが一旦落ち着いたものの、現在の魔王ぬらりひょんからあれこれ面倒ごとを押し付けられている皓(しろし)。忙しい彼に代わって青児は探偵代理の紅子と金魚に呪われた屋敷の謎に挑む。皓のいない場所で、青児が事件に巻き込まれ…

それぞれ秘密を持った夫婦が殺し合ってトリック合戦―藤石波矢・辻堂ゆめ『昨夜は殺れたかも』

あらすじ・概要 ラブラブな主婦とサラリーマンの夫婦、藤堂光弘と咲奈。しかしふたりには秘密があった。光弘は咲奈の不倫を疑い、咲奈は光弘が自分の財産を狙っていると疑った。ふたりは愛のない相手を殺そうと、何回もトリックを重ねる。しかし、それはあと…

罪人たちが集まった夜行列車で起こる連続殺人―路生よる『地獄くらやみ花もなき肆 百鬼疾る夜行列車』

あらすじ・概要 凛堂棘の兄凛堂荊と推理対決をすることになった皓と青児。案内された夜行列車には、多くの罪人たちが集められていた。これからこの車内で罪人たちを裁く連続殺人が起こり、皓はその実行者を当てなければならないという。皓たちは、列車の中で…

二本立てゆえちょっとまとまりが悪い―路生よる『地獄くらやみ花もなき参 蛇喰らう宿』

あらすじ・概要 過去の通り魔事件を調べるため、奥飛騨の旅館に向かった皓と青児。燃えるような紅葉に囲まれた旅館で見たものは、前日亡くなった女将の亡骸だった。その旅館で、皓は行方知らずになってしまう。青児は皓の生存を信じ、彼の伝言に従ってある場…

引っ越してきた少女は、未来を予言する弟が気になり町の未来視伝説を調べる―米澤穂信『リカーシブル』

あらすじ・概要 家庭の事情で母と弟と引っ越してきた越野ハルカは、弟のサトルが未来を言い当てるような言動をしていることに気付く。この町には、タマナヒメという予言をする女性の伝説があるらしい。タマナヒメについて調べ始めたハルカは、大人たちの思惑…

人と半人半魔のバディが長崎の孤島、人形の館を訪ねて罪人を探し出す―路生よる『地獄くらやみ花もなき弐 生き人形の島』

あらすじ・概要 閻魔大王に代わって悪人を地獄に落とす皓(しろし)とその助手の青児(せいじ)の元に、バラバラ殺人を予告する謎の手紙が舞い込んだ。その手紙に従って長崎の孤島に降り立つと、そこは人形作家、絢辻幸次の館だった。館には人形のように美し…

「ざまぁ系」が嫌いな私へ、生々しくて優しいハードボイルドサスペンス―『オッドタクシー』

あらすじ・概要 タクシードライバーの小戸川は、女子高生行方不明事件に関わっているのではないかと疑いをかけられる。アイドルオタク、かかりつけ医のところの看護師、犯罪者とさまざまな客を乗せるうちに、小戸川は複数の事件に巻き込まれていく。いくつも…

強烈な個性を持つダンス教師の数奇な過去とは―米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』

あらすじ・概要 ダンサーの道を諦めて翻訳家になった広世志摩は、かつてチェコスロバキアの学校でオリガ・モリソヴナという教師に出会った。強烈な個性を持ち、多くのダンサーを育てた彼女の謎を解くために、志摩はロシアを訪れる。親友カーチャとオリガの数…

半人外少年探偵と彼に飼われる小物青年の怪奇ミステリ―路生よる『地獄くらやみ花もなき』

あらすじ・概要 宿を失くしネットカフェを泊まり歩いていた遠野青児は、罪を犯した人間が妖怪の姿で見えてしまうという力があった。彼は不思議な館に迷い込む。そこにいたのは不思議な少年、西條皓(さいじょう・しろし)。彼は鬼の代わりに罪人を地獄へ送り…

古くなった原作をメタツッコミで乗り越える倒叙ミステリ―船津紳平『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』

あらすじ・概要 有名ミステリ漫画『金田一少年の事件簿』。金田一耕助の孫の金田一一が事件を解決するシリーズだ。その漫画の裏には、犯人たちの苦労秘話があった。『金田一』で語られたそれぞれの事件を取り上げ、そのトリックを倒叙ミステリの形で展開する…

「魔女」を治療しようとした16世紀の医者の謎解き―槇えびし『魔女をまもる。』

あらすじ・概要 16世紀、魔女狩りの嵐が吹き荒れるドイツ。そこでひとりの医者が魔女を治療しようとしていた。ヨーハン・ヴァイヤーは、魔女と呼ばれる女性たちの奇行を「病気」なのではないかと思い、魔女と噂される老女や人狼に襲われた事件を調査する。精…

鉄オタ知識満載のコメディミステリ―綾辻行人・佐々木倫子『月館の殺人 上・下』

あらすじ・概要 母親を失い、富豪であった父方の祖父の家に招かれた女子高生、空海(そらみ)。館へ向かう高級夜行列車「幻夜」に乗り込むと、そこには5人の男がいた。鉄道を愛する奇妙な男たちに困惑していると、そこで殺人事件が起こった。犯人は、幻夜の…

理屈が丁寧に説明された創作論―貴志祐介『エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く』

あらすじ・概要 ホラー・サスペンス・ミステリなど、ハラハラドキドキさせる作品を作り続けヒットを飛ばしてきた貴志祐介。彼は創作のためにどのようなことを行っているのか。自分の作品や過去の名作を引き合いに出しながら、「面白い!」と思わせるエンタテ…

【感想】『アンナチュラル』のセルフ返歌としての『MIU404』

今日の更新は、『MIU404』です。 あらすじ・概要 事件を24時間以内に捜査し他の捜査課に手渡す「機動捜査隊」。その4番目であり臨時の部隊にいる志摩は、奥多摩からやってきた伊吹とバディを組むことになる。直観と運動能力も優れるものの、感情的で破天荒…

『アンナチュラル』感想と、私は中堂系を絶対に許さない話

今日の更新は、『アンナチュラル』です。 あらすじ・概要 あらゆる機関から独立を保ち、独自に死体解剖を行い死の原因を突き止めるUDIラボ。そこで法医学者として働く三澄ミコト(みすみ・みこと)は、優秀だが傍若無人な同僚中堂系(なかどう・けい)に振り…

自殺志望の子どもたちが13人目の死体の謎を解く―『十二人の死にたい子どもたち』(実写映画版)

今日の感想は、『十二人の死にたい子どもたち』(実写映画版)です。 あらすじ・概要 集団自殺を行おうと廃病院に集まった12人の子どもたち。しかしそこには、13人目の死体が横たわっていた。全員が賛成しないと集団自殺は決行できない。12人の子ども…

現代舞台の作品なのにあふれる昭和っぽさ―有栖川有栖『濱地健三郎の霊なる事件簿』

今日の更新は、有栖川有栖『濱地健三郎の霊なる事件簿』です。 あらすじ・概要 超常的な事件を扱う霊能探偵・濱地健三郎。彼は助手のユリエとともに、奇妙な事件の依頼を受ける。自らの持つ霊感を使い、この世ならざるものが起こす事件を解決していくが……。

「イラっと来る」をうまくコントロールしたお仕事小説―青木祐子『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』

今日の更新は、青木祐子『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』です。 あらすじ・概要 天天コーポレーション経理部に所属する27歳のOL、森若沙名子。会社の簿記やお金の管理をして働く毎日だ。その経理部に、従業員たちはやっかいごとを持ち込んでく…

小市民の枠をはみ出しつつあるふたり―米澤穂信『巴里マカロンの謎』

今日の更新は米澤穂信『巴里マカロンの謎』です。 あらすじ・概要 恋愛関係でも友情関係でもなく、互恵関係で交流している小佐内さんと「ぼく」こと小鳩くん。ふたりで限定のマカロンを食べに行くと、三つのはずのマカロンが四つになっていた。表題作「巴里…

垣間見えた古典部メンバーの未来―米澤穂信『いまさら翼といわれても』

今日の更新は、米澤穂信『いまさら翼といわれても』です。 あらすじ・概要 合唱祭に出る千反田えるがいなくなった。しかも、彼女はソロパートを歌うという。伊原摩耶花からかかってきた電話によって、折木奉太郎はえるの行方を探す推理を始める。奉太郎がた…

これは謎解きじゃなくて知識チートだよ!―日向夏『薬屋のひとりごと』

今日の更新は、日向夏『薬屋のひとりごと』です。 あらすじ・概要 人買いにさらわれ、後宮で働かされている猫猫(マオマオ)。圧倒的な薬の知識を持つ彼女は、後宮の事件を次々と解決する。しかし猫猫自身は、ひっそり暮らしたいと思っているようで……。

ヤバい女に翻弄されつつも翻弄する―間宮夏生『月光』

今日の更新は、間宮夏生『月光』です。 あらすじ・書籍概要 男子高校生、野々村は、クラスのアイドル月森葉子が落とした「殺しのレシピ」を拾う。それは、完全犯罪を目指した計画が書かれているメモだった。しばらくして、月森の父親が事故死する……。

校長先生の朝礼みたいな言い回しはやめてくれ―山本巧次『阪堺電車177号の追憶』

今日の更新は、山本巧次『阪堺電車177号の追憶』です。 確か去年のハヤカワ電子書籍セールで買ったもの。 あらすじ・書籍概要 天王寺から大阪南部を走る阪堺電車177号。彼は電車に乗った人々がかかわった事件を回想する。戦時下、バブル、平成と、町が移り変…

ミステリと称して妄言を聞かされる身にもなってくれ―斜線堂有紀『死体埋め部の悔恨と青春』

今日の更新は、斜線堂有紀『死体埋め部の悔恨と青春』です。 あらすじ・書籍概要 うっかり人を殺してしまった大学の新入生、祝部(はふりべ)は、そこに通りがかった「死体埋め部」の織賀(おりが)に死体を埋めてもらうことになる。脅されて「死体埋め部」…

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』感想記事のまとめと総評

今日の更新は、『ビブリア古書堂の事件手帖』感想まとめ記事です。 といっても3巻以前はブログを作る以前に読んだので、4巻からです。 あらすじ 本が読めない体質の五浦は、栞子の経営する古書店ビブリア古書堂で働くようになる。本の知識にあふれ、推理力…

忠誠をささげた道化の知恵比べ―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』

今日の更新は、三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』です。 あらすじ 『晩年』をめぐり取引に現れた吉原という男。彼は八百万というふっかけた値段で本を売ろうとする。栞子の妹、文香の受験も重なり、ビブリア古書堂はお金に悩…

好きになれない主人公のハーレム展開ほどつらいものはない―森晶麿『僕が恋したカフカな彼女』

今日の更新は、森晶麿『僕が恋したカフカな彼女』です。 すみません、最初に言っときますけど酷評です! あらすじ 深海楓は不可能趣味にそそられて架能風香に恋文を渡すが、あっけなくふられてしまう。楓は彼女に食い下がるために、カフカを手本に小説を書き…

「詩人」であることがスティグマとして扱われるのが辛すぎ―紅玉いづき『現代詩人探偵』感想

今日の更新は、紅玉いづき『現代詩人探偵』です。 あらすじ オフ会で「10年後に会おう」と言って別れた詩人たち。10年後、彼らが集まってみると、四人もの詩人が亡くなっていた。その詩から「探偵くん」とあだ名される主人公は、彼らの死の理由を探り始…