今日の更新は、『明日も、アスペルガーで生きていく』です。
評判が良かったので手に取ってみた本です。
書籍概要
社会にうまく適応できない、ちょっと変わった人たち。彼らは「アスペルガー症候群」かもしれない。著者がアスペルガーの人々に取材を行い、それを元に書きあげた、8人の「アスペルガーの話」
ストーリー仕立てのアスペルガー本
がっつり脚色が入っているのと、オチがきれいすぎるので、おそらく完全にノンフィクションというわけではないんでしょう。
それはそれでいいと思います。そのまま書くと身バレの危険性もあるし。どのくらい事実を参考にしているのかはちょっと興味がありますが。
ストーリー仕立てになっているので、アスペルガーの特徴を理解するにはわかりやすかったです。当事者だけでなく、アスペルガーという障害に興味を持った定型発達の人たちにもとっつきやすいのではないでしょうか。
ところどころに挿入されるイラストも、ストーリーの邪魔にならない程度にあたかかさを与えていました。挿絵のある本って挿入箇所が微妙なこともありますが、これは適切です。
最後に監修者である西脇俊二の、それぞれのストーリーへの解説があるのですが、これがしっかりしていて面白いです。
8人のアスペルガーのタイプごとに、生きやすくなるヒントを語っていきます。これは自分に似ているパターンを選んで実践できそうです。
最後に監修者が書いた言葉も印象的でした。
「立派な変人になってくださいね」
私は、よく患者さんにこんな言葉を投げかけます。
(中略)
個性的、などというありきたりな表現では、物足りません。個性的な人など、掃いて捨てるほどいるのですから。
(P286 解説より)
アスペルガーが変わっている、ということ自体はどうしようもないので、「変人」として世の中と自分との折り合いをつけ、生きていくしかないのだろうなと思います。
たとえ変人であっても良心の声に耳を傾けるように、ひとりで生きられるとうそぶかないように、がんばりたいですね。
まとめ
小説が好きな人にはとっつきやすい本なのではないでしょうか。発達障害者にも定型発達者にもおすすめです。
「自分はこのタイプだな」と分析しながら読むと面白いです。