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「幻覚がある」という孤独と怒り―木村きこり『統合失調症日記』

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統合失調症日記

今日の更新は、コミックエッセイの木村きこり『統合失調症日記』です。

 

あらすじ・書籍概要

高校生のときに統合失調症になった著者。幻聴や幻視、妄想など、病気の症状に悩まされ、暴れたり独り言を言ったりを繰り返していた。今は症状を薬で抑えつつ、美術大学に通っているが……。

 

孤独でイライラしているのもなるほどなあ

ストーリー的には普通の闘病記なんですが、幻視や幻聴の描写が興味深いです。

 

著者の幻聴は男、女、子供の三人で、キャラクター性があります。頭の中でやかましく会話し、悪口や罵倒をするため、衝動的に「うるさい」「黙れ」と言ってしまって不審がられることもあります。

確かに目の前の人が突然「黙れ」とか言い出すとびっくりしますよね。

しかし一方で、統合失調症の人はこんなにやかましい世界に生きているのか、とびっくりしました。いつも罵倒され悪口を言われ、しかもそれが自分以外の誰にも聞こえない。それはすごく孤独だし、腹立たしいでしょう。いつもイライラしているのにも納得がいきます。

 

幻視の描写も面白かったです。ごみ捨て場に積み上げられたごみ袋が猫の顔の形に見えたことから、どんどん飛躍していく想像にこちらも頭がぐるぐるしてしまいました。考えている本人はもっとぐるぐるしているのでしょうね。

 

共通するのは、ストレス負荷が大きくなると統合失調症の病状も悪化するということ。周りが協力できるのは、ストレスの原因を減らしたり、うまい付き合い方を一緒に考えたりすることなのではないかと思います。

 

まとめ

幻聴や幻視の描写が興味深かったです。

統合失調症ってなんだろう?」と思ったときに読むには最適な本だと思います。

 

統合失調症日記

統合失調症日記

 

 

 統合失調症の話はこちらもどうぞ。

統合失調症によって入院していた著者のコミックエッセイです。

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