今日の更新は、自死遺児編集委員会・あしなが育英会編『自殺って言えなかった。』です。
このところ感想の書き方が変わっていたんですけれど、パソコンを開く時間が取れずスマホで書いていたからです。しばらく見やすさと書きやすさが両立できるテンプレを模索します。
あらすじ・概要
年間三万人が自殺している日本。親が自殺してしまった子どもたちは、その後どのような生活を送るのか。あしなが育英会の自死遺児たちは、自ら体験を文章にし、文集にまとめた。
どんな親であれ自殺はしちゃだめ
登場する自殺者たちは、本当に人徳者な人もいれば、正直いい親とは言えなかった人もいます。しかし子どもたちは、どんな親であれ親の自殺に深く傷つき、「親が死んだのは自分のせいではないか」とずっと自分を責めています。
親自身も苦しんでいたとはいえ、自殺は子どもにとっては最悪の行動なのだと気づかされました。
また、子どもたちは親の自殺のことを周囲に打ち明けられず、疎外感を持って成長していくところに心が痛みました。
親が死んだことだけではなく、誰にも言えない秘密を抱えてしまったことで、孤独を味わっている。ただ親がいないから悲しい、という以上の苦しみがあることがわかりました。
「父親は事故で死んだことにしよう」というごまかしは子どものためを思っての行動でしょう。しかしながら、そういう嘘を強いてしまう世の中の偏見にも責任があります。
助けようとするのではなく、「そういう人生もこの世にあるのだ」と受け入れるだけでも、遺族の心は違うと思います。
読んでいて思ったのが、「似た境遇の人を助ける」ということが遺児たちにとって救済のきっかけになっていることです。
自分のつらく悲しい体験によって、誰かを助けることが、ひとつの心の整理になっているのでしょうね。
あしなが育英会の作った本なので、だいたいオチがあしなが育英会関連になってしまいます。そこはちょっとテンプレ的だったけれど、まあ仕方ないかな。
あと自殺した親がすべて父親だったので、母親が自殺した人の話も一話くらい見てみたかったです。
『自殺って言えなかった。』はこんな人におすすめ
ちょっとでも自殺したいと思ったことがある人には染みると思います。それからあしなが育英会や、福祉関係に興味がある人には参考になるかも。
明るい本ではないけれど、それでも希望がある内容でもあります。