ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

訳ありレズビアンカップルの育児奮闘物語―中村キヨ(中村珍)『お母さん二人いてもいいかな!?』

お母さん二人いてもいいかな!?

今日の更新は、中村キヨ(中村珍)『お母さん二人いてもいいかな!?』です。

 

あらすじ・概要

レズビアンである著者は、女性と事実婚をしている。その「妻」は、子持ちで、産後うつがひどく、そしてとてもつらい過去を抱えた女性だった。著者自身も虐待の過去を抱えながら、毎日楽しく七転八倒して生きる。訳ありレズビアン家庭の日常を描いたコミックエッセイ。

 

「まとも」でないと子どもを産んではいけないのか

最近ちょくちょく同性愛者のエッセイを読んでいますが、みんな自分のみっともないところはあまり出しません。普通に考えるとかっこ悪い恋愛は描きたくないでしょう。

しかし、このコミックエッセイはだめなところをたっぷり書いてあります

産後うつで妻が地獄のようなネガティブにとらわれているシーンもそうですし、一度関係が破局した瞬間即彼女を著者、うっかり子どもに性行為を見られてしまった瞬間……。

恋愛もの、夫婦ものなのにまったくキラキラしていません。

最初は驚いたし、「こんな親でいいのか?」と思いました。でもすぐ恥ずかしくなったんです。私の中で、「ちゃんとした人」でないと子どもを産んではいけないという発想があったことに。

そもそもレズビアンであるというだけで(建前はともかくイメージとしては)人間として一人前ではない、みたいな発想になることがおかしいんですよね。

著者夫婦はへんてこだしトラブルも多いですが、それでも息子たちを守り、将来を応援しようとしている。それだけで十分ではないですか。

 

同性婚肯定の主張をするときに、「同性愛者が『家族制度』の規範に従うようになるから家族は崩壊しない」みたいな理屈を持ち出す人がいますが、この理屈は著者の家族のような人々を切り捨てる言葉だと気づきました。

前々からこの主張には違和感を覚えていましたが、このコミックエッセイを読んですっきり考えがまとめられた気がします。

 

正直コミックエッセイとしては読みやすくないです。時系列はポンポン飛ぶし、紙面もごちゃごちゃしていて話が追いづらい。しかしその欠点を踏まえてもすばらしいエッセイでした。

お母さん二人いてもいいかな!?

お母さん二人いてもいいかな!?

 
レズと七人の彼女たち 1巻

レズと七人の彼女たち 1巻