今日の更新は、長月遥『不思議の国のハートの女王 世界の強制力で毒吐きまくり!?おかげで破滅ルートに入りそう』です。タイトル長いと記事タイトルに感想の一文要約が入れられないので悲しい。
あらすじ・概要
ハートの国の女王、エリノアは自分が転生者であることを思い出した。ここはどうやら現代日本でプレイしていた乙女ゲームの世界だった。くしくも「口に出す言葉が高飛車な罵倒になってしまう呪い」にかかってしまったエリノアは、思っても見ない発言で周囲を振り回してしまう。しかし、攻略対象の帽子屋は、エリノアの味方に付いてくれて……。
がっつりエンタメしている少女小説
転生コメディを読んでいたと思ったら、壮大な多世界のリンクについて知ってしまい、そこからギャンブル対決になった。何だこれ。
何気なく読み流していた部分が実は伏線だったり、フレーバー程度かなと思っていた「不思議の国のアリス」要素がさまざまな方向から回収されていたり、よくできたライトノベルだなあ……と感心しきり。
どんどん伏線や描写を積み上げて、終盤で盛り上げて終わる、ということが違和感なくできています。エンターテインメントだなあ。
余談なんですが、この著者の作品、「(少女小説としては)恋愛色が薄いから」という理由でAmazonレビューの星を減らされてしまうのが不憫でならないんですよね。
もっと恋愛に重きを置かないレーベルに拾ってほしいです。でも、少女向けにこういう尖った作品があってほしいという気持ちもある……。
(ここからネタバレ)
作品の敵役、ミラとのポーカー対決がここまでがっつり描かれるとは思いませんでした。でもよく考えるとアリスの「ハートの女王」にちなんだトランプ対決なんですよね。ここでもネタが細かいです。
ギャンブルには詳しくないのでどれほどリアリティがあるのかはわからないんですけど、カードの賭け方にキャラクターの性格がはっきり出ているのが非常に面白かったです。
豪胆なアレフ、常に冷静に可能性を見据えるジョーカー。そして案外正直でカードゲームに弱いエリノア。
この三人でなんとか勝利をもぎ取ろうとするところが興奮しました。
エリノアに粉をかける男が複数出るので、続刊が出ればハーレム路線の予定だったのでしょうか。男たちはエリノアの精神性に惚れてるし、エリノアも国の政治そっちのけで男になびく女じゃなさそうなので、そういう路線でもあまり不安はないですね。