あらすじ・概要
結婚し妻になった著者。彼女は実は、男性として育っていた。自らの幼少期、性別移行をするまでの過程、性別適合手術を受けたときの心の揺れなどを、四コマ漫画とページ漫画で語る。
性別移行って何だろう?
「性別移行」という概念をそもそも詳しく知らなかったので、大変興味深かったです。
しかしトランスジェンダーの人がみんな明確に「自分は絶対に異性になりたい」と思っているわけではなく、自分の性的な特徴に対しての薄らぼんやりした違和感が、異性の格好をすることで解決する、みたいな人もいるんですね。
やはり性自認は白黒わけられるようなものではないのですね。
結婚式では元男なのでビデオで過去の写真を使えなかったり、元男だと知っている親戚の小学生たちの存在に頭を悩ませたり、準備期間も面白かったです。
そしてセクシャルマイノリティ同士の不和、偏見についても少し触れられていて、少数派同士ならうまく行くわけではないのだな、と再確認しました。
著者の家族は性別移行に好意的ですし、夫も理解もあります。かなり周囲の人間に恵まれているパターンです。
だからただいま偏見や差別に苦しめられ、自分に自信がなくなっている人が読むと自分と比べてしまってつらいかもしれません。
もちろん夫があとがきに「悩みや不安を抱えることもあります」って書いていますから、楽しいだけの結婚生活ではなかったのでしょうが。