あらすじ・概要
エログロ系のレディースコミックを描いて暮らしてきた著者は、ある日乳がんを告知される。母親は死に、家族は遠く、独身で自分の家庭もない。ひとりで乳がんと向き合わなければならない著者は、より良い医療を探して三つの病院を巡る。
ひとりで病気になることの困難について
面白い面白くないというより、病気になったときの人間関係について考えさせられました。
著者は親しい友人も少なく、家族も遠くに住んでいます。告知のときや手術のとき、医師たちは「誰か付き添ってもらえる人がいれば連れてきてください」と頼みます。ひとりの人間にはハードルの高いお願いです。
しかし友人も家族も、空気の読めない行動をしたり自分の家庭を優先したりで著者はいらいらしてしまいます。
……が、私はこの友人や家族の反応もわかるんですよね。誰でも自分の身を削って看病ができるわけではありません。遠くに住んでいるならなおさらです。
一方で命がかかっている著者の焦りや怒りもわかるので、何だか、読んでいて板挟みを感じました。自分とは直接関係のない話なのに。
私もおそらく家庭を持たずにひとりで生きていくだろう、と思うと著者の焦りが他人事ではなかったです。
人間関係は大事だけど、人間関係を滞りなく構築できるようならひとりでいないんだよなあ……。
著者は決して善人ではないんですが、それゆえに逆に身近に感じてしまった作品でした。
ちょっとコマ割りが読みにくいところがあるし、ストーリー構成がいいとは言えないんですが、個人的には結構好きです。