あらすじ・概要
和歌から進化していった「短歌」。その短歌を「食べ物」「動物」など身近なテーマごとに分け、イラスト、解説とともに一首ずつ紹介していく。そこには作者しか書き留められなかった喜怒哀楽、発見、アイディア、いたずらごころがあった。
かわいいデザインで短歌の紹介
すごくデザインが美しい本ですね。かわいらしいイラストもそうですし、二色刷りの紙面もシックでいいです。このデザインだけでも見てほしいです。
イラストの量が本当に多くて豪華ですね。発注いくらかかったんだろう……(下世話な想像)。
どちらかというと思春期の若者向けの本だと思いますが、大人が読んでも面白いです。一首一首イラストとともに短歌を紹介しつつ、短歌の歴史や、短歌に使われているテクニック、有名人の詠んだ歌などを紹介しています。
短歌の穴あきクイズなど、頭を使うページもあって読んでいて飽きませんでした。
以下、印象的だった歌を引用しておきます。
海をぜんぶ吸い込むための掃除機に今朝シロナガスクジラがつまる(吉岡太朗)
どんなシチュエーション!? と思いつつ、あれこれ想像してしまう歌ですね。
トイレットの鍵こわれたる一日を母、父、姉とともに過ごせり(大滝和子)
微妙な緊張感が漂う作品です。誰がトイレを開けるかわからない子の感じ。はらはらします。
中心に死者立つごとく人らみなエレベーターの隅に寄りたり(黒瀬珂蘭)
ぱっと想像できる上に、エレベーターに開いた空間を「死者立つごとく」と比喩を入れるのがすごいですね。