あらすじ・概要
大阪によく似た町、カンサイに住む「一般人」は、一枚の500イェン玉を持ち主に返そうとしたことから、犯罪者たち「アクダマ」を集めた計画に巻き込まれる。謎のしゃべる猫ロボットに導かれ、カントウへと通じる伝説的乗り物、シンカンセンから、アクダマたちはあるものの強奪を試みる。
世界観とトンチキノリが合えば楽しい
正直かなり粗が多い作品で、他人にはおすすめしがたいんですが、私は結構好きです。
まずはいいところから。この作品の舞台「カンサイ」の世界観がいいんですよね。毒々しいネオンサインが町を埋め尽くし、空には大きな飛行船が飛び、通天閣や梅田スカイビルを大胆にアレンジした建物が背景に立っています。
このめちゃくちゃな大阪描写を見ると「ああ、これは考証にツッコんじゃいけない作品なんだな」と思います。
ただめちゃくちゃではあるんですが、万博公園をモチーフにしたバンパクパークの傍にエキスポランドをモチーフにした遊園地があったり、そのバンパクパークに大阪万博を思わせるガジェットがあったり、要所要所で「大阪っぽさ」を押さえてきているんですよね。調べていないわけではないんですよ。
そういうトンチキSFっぷりとちょっとした小ネタが面白かったです。
そして作画も素晴らしいです。上記の怪しげなカンサイ描写ももちろんですが、アクションシーンは独特でとてもかっこいいです。アクダマたちの各能力を生かしたバトルは、見ていてとても興奮しました。
悪いところは、脚本にツッコミどころが多いことです。設定がガバガバなのはいいとして、急いでいるはずのシーンで長々とどうでもいい話をしたり、キャラがやたらと説明口調で自分の考えについて話したりします。
ストーリーとしても、AがBを逃がそうとしたけれどやっぱり合流する、のような「いやその展開する必要あった?」という部分が結構ありました。
作画や世界観やトンチキなノリで引っ張っては行けますが、ひとつの作品としては詰めが甘かったです。
と、厳しいことも書きましたが基本的には「ノリ」が合ったので楽しめました。あまり深く考えず見る分には面白かったです。