あらすじ・概要
漫画家、梅川和実は37歳にして想わぬ妊娠をした。初めてのつわりに体をさいなまれつつ、夫とともに妊娠期間を乗り越えていく。ハードな漫画家仕事で切迫流産しかかったり、羊水検査の選択を迫られたり、「妊娠」の悩みを描くコミックエッセイ。
高齢妊婦、生活と仕事の両立に悩む
「高齢妊婦の困りごと」としてはだいたい知っていることが多かったですが、エピソードに対する心の動きに作家の個性が出ていてよかったです。
妊婦生活と仕事の両立は全員ができるわけではないと聞いていたんですが、漫画家というハードな仕事との両立はやはりかなり厳しかったようです。切迫流産、怖い。怖がりすぎるのも精神的によくないし、かといって自由にやりすぎるとお腹に障ります。バランスが難しい……。
それから羊水検査のことにも触れられていたのが興味深かったです。私は羊水検査に肯定的で、やりたい人は全員やればいいと思っているのですが、やっぱりやることで「迷い」が出てくることも多いと思います。やらなかったら「そういうもの」として受け入れられるけど、やった時点で「産むか産まないか」を決めなければならない。
自分の手で命の選別をすることが、どうしても受け入れられないのなら「やらない」という選択肢も大いにありだと思います。
ただ母体より自分の仕事を優先するような描写があるので、そこで引っかかる人はいると思います。それだけ仕事を愛しているってことなんだろうけど、危ないことは危ないですからね。