ブックワームのひとりごと

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不健康な体で働く細胞たちの擬人化漫画―原田重光・初嘉屋一生『はたらく細胞BLACK』

はたらく細胞BLACK(1) (モーニングコミックス)

 

あらすじ・概要

人体の細胞が人の形をしている世界。作られたばかりの赤血球は、これからの仕事に期待を膨らませていた。しかしその身体は、アルコールや喫煙、暴飲暴食によって蝕まれた不健康な体だった。過酷な労働に駆り立てられ、疲弊していく現場は多種多様な病魔にむしばまれていく。

 

働く細胞たちの苦悩とやりきれなさを楽しんでしまう

アニメが面白かったので、原作もレンタルコミックで借りて読んでみました。 

honkuimusi.hatenablog.com

 

原作を読んでみると、アニメは結構構成を変えて作られていたことがわかります。連作短編としての色が強い原作に対して、アニメは段階を踏んだ赤血球の成長物語として描かれています。そのためにエピソードの順番を入れ替えたり再構成したりしています。

それはそれでアニメとしてわかりやすいと思うので、アリな改変です。

 

私は高校時代生物を選択していたので、「あ、これ学校で習ったやつだ!」と思い出せて懐かしかったです。ランゲルハンス島とかインスリンとか習った習った。暗記ばかりで何の役に立つんだろうと思っていましたが、こうして懐かしむことができる時点で役には立っているんですよね……。教育、大事。

しかしこういう人体の仕組みが身近にわかる漫画がある時代に生まれた高校生がうらやましいですね。

 

しかしブラックな労働環境で働く細胞たちは本当にかわいそうなんですが、同時にシンパシーと嗜虐的な喜びも感じてしまいます。それは働いていると「この仕事本当に意味があるのか……?」と思ってしまう瞬間があるからでしょうね。

働いても働いても環境が改善されない状況で苦しむ細胞たちに、「うちの職場も同じだよ」と思い、「きみたちも同じように苦しんでほしい」と暗い感情を抱いてしまう。

科学的な要素だけではなく、働く己自身を投影してしまう作品でした。

 

ついでの話なんですが、この作品にはちょこちょこお色気描写があるものの、なぜかあまり気にならなかったですね。主なお色気担当の白血球がめちゃくちゃ強い女でいやらしさどころではないからかもしれません。