ブックワームのひとりごと

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ご先祖様の見える少女がお盆の一日を繰り返す―スケラッコ『盆の国』

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盆の国 (トーチコミックス)

 

あらすじ・概要

お盆に帰ってくる先祖の姿が見える少女、秋。ある年の盆、秋は自分が8月15日を繰り返していることに気付く。戸惑う中で、声をかけてくれたのは夏夫という青年だった。秋は夏夫とともに、15日から脱出する方法を探す。しかし夏夫には、ある秘密があった。

 

 

ほのぼのっぽい絵柄で意外とホラー

ほのぼの系と予想していたら思っていたよりホラーでした。いや、ほのぼの要素もありますが。繰り返していた平和なお盆の風景が次第に不穏になっていく感じにはぞわぞわします。

リアル系の絵柄ではなく、シンプルな絵柄だからマイルドになっていますが、よくよく考えると恐ろしい描写が多いです。

特に徐々にご先祖様である「おしょらいさん」が力を増していき、数も増えていくシーンではすごく胸騒ぎがしました。嫌な予感を描くのが上手いです。

 

ストーリーとしては女の子のひと夏の冒険、そして初恋。最後の夏夫とのシーンは予想はしていたんですがそれでもきゅんとしました。この年頃だと大人がすごく魅力的に見えて、でも大人は別世界の人間だということはわかっていて……。まあ夏夫は別の意味で別世界の人間なんですけど。

 叶わない初恋ほど美しいんですよね。

 

舞台が京都なので登場人物はみな関西弁をしゃべります。方言なのにさらっとした会話で懐かしい気持ちになりました。

 

電子版にはところどころカラーページが挿入されているんですが、紙でもこうなっているのでしょうか。ここぞ! というところで絵に色がついて、ある種のロマンチックさがありました。