あらすじ・概要
先輩の白森とお試し交際を続けている黒矢。一枚上手な白森にからかわれてばかりの黒矢は、彼女の前ではいつもたじたじとなる。そんな中、ふたりはデートに繰り出すことに。そのデートの中で白森は己の新しい感情に気づく。
過去を肯定した上で新しい価値観を得るのがいい
かわいいのですが「常にいちゃついてるなこいつら」という感想が先に来てしまって他の感想が浮かんできません。
作品を通して黒矢はからかい倒されていて、でもちょっとこぼしたせりふが白森をどきどきさせてしまいます。仲いいなきみたち、とニヤニヤしてしまいます。
デートは買い物をしたりカラオケに行ったりしつつ、ふたりがお互いの言ったことに少し救われるシーンがあります。
「いい子」だった白森を否定するのではなく、いい子であった過去を肯定した上で別の人生を生きることもできるのでは? というオチを持ってきたのが優しいです。
迷っていたこと、悩んでいたことを否定してしまうと、自己肯定感が下がるんですよね。過去も含めて「まあ自分の人生は悪くないな」と思うことができれば一番いいと思います。
黒矢も黒矢でもう一度作家を目指したいと思うようになります。黒歴史を冷静に受け止め、もう一度書きたいと思ったのは白森のおかげなんですよね。
このシリーズは本当にカップルがいい子でかわいいので、読んでいてほっとします。「ふたりを見守る壁になりたい」っていうのはこのことです。
すごく劇的な展開があるわけではないけど、のんびり読むのにはちょうどいいです。